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異次元空間?[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(363)]

No.5074 (2021年07月24日発行) P.64

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2021-07-21

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立て続けに落とし物をした。我ながらトホホである。しかし、2回とも、落とし物をして10分以内に無くなっていることに気づいたのはエライといえるかも。って、それやったら落とすなよ、ということですが。

ひとつめは財布である。朝のお散歩の途中、近所のお宮さんに立ち寄った。参拝客がいることなどめったにない神社なのだが、その日は先客がいた。賽銭箱の縁にお供え物(コンビニで買ってきたとおぼしきお寿司とおはぎ、そしてカップ酒)を並べて一心不乱に拝んでいる怪しげなおじさんである。邪魔にならないように横からこそっとお賽銭を放り込んで、そそくさと立ち去った。

お賽銭を出したのだから、間違いなく財布はあった。ちいさなショルダーバッグが散歩のお供で、財布はそこへ入れてある。数分歩いたところで、そのバッグのジッパーが開いたままになっていることに気づいた。

おじさんに気をとられて閉め忘れたんやわ。あっちゃ~、財布があらへんがな。早朝なので、人もあまり歩いてない。神社から来た道のどこかに落ちているに違いないと大急ぎで戻るも見つからず。交番に届けて帰宅し、クレジットカードを無効にする連絡をし終えたところで、財布が届けられましたとの電話が交番からかかってきた。

駆けつけて、財布を受け取った。紛失の調書と返却の書類で、お巡りさんには半時間近くも手間を取らせてしまった。お仕事とはいえ、まことに申し訳ないことをした。いったいどこに落ちてたんでしょう? と尋ねたら、歩道橋の下だったそうですとのこと。おそらく階段でバウンドして下まで落ちてしまい、見つからんかったんでしょうな。

もう1回はまったくもって不可思議だ。今度はPiTaPa、東京でいうところのPASMO、ICカードである。いつも、携帯電話カバーのカード入れに差し込んで使っている。改札を通って、プラットフォームでスマホを使おうとしたら、カードがない。

ん? 落ちるはずないけど、落としたんやろうなぁと改札まで戻るも見つからない。歩数にして100歩ほどしかない。キツネにつままれたみたいである。しゃぁないわと電車に乗って降車駅で駅員さんに事情を説明した。ホントにどこにもないんですか? と、むっちゃ訝りながら、運賃を取ることもなく放免してくれはりました。いやぁ、これはもう異次元空間に消えたとしか思えませんわ。

なかののつぶやき
「財布を落としたのはこれで3回目であります。うち2回は、現金ともどもしっかり戻ってきましたが、うち一度はお金だけが抜き取られてました。どうやら、最初に拾った人がお金を抜いてから捨てたのが、再度拾われたようでした。1回目は極度の疲労、2回目は泥酔、今回の3回目は注意散漫が原因です。しっかりしてたら財布は落とさないということなんでしょうね。反省です」

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