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【一週一話】糞便微生物移植の臨床応用

No.4756 (2015年06月20日発行) P.49

南木康作 (慶應義塾大学医学部内科学(消化器))

金井隆典 (慶應義塾大学医学部内科学(消化器)教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-17

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  • 糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation:FMT)という治療法が注目を集めている。FMTとは,バランスの崩れた腸内細菌叢を,健常者の糞便を移植することで正常に戻す治療法である。この一風変わった治療法が注目されるきっかけとなったのが,2013年のvan Noodら1)によるClostridium difficile感染症(CDI)に対するFMT治療と既存治療のランダム化比較試験の報告である。

    CDIは抗菌薬の長期投与などを契機にClostridium difficileが腸管内で異常増殖することで,偽膜性腸炎などを引き起こす抗生物質起因性腸炎の一種であり,一般的にはバンコマイシンやメトロニダゾールなどの抗菌薬により治療される。既存治療に反応しない難治例や再発例があり,重症例では致死率も高く,また近年増加傾向であることから,有効な治療法が求められていた。

    van Noodらは,難治性CDIに対してバンコマイシン投与群とFMT治療群を比較し,既存治療群が約3割の治癒率であったのに対し,FMT治療群は9割近い治癒率を示し,FMTが既存治療に比べきわめて高い有効性を持つことを証明した。重大な有害事象もみられなかったため,現在欧米においてFMTは難治性再発性CDIの治療法としてガイドラインに記載されるまでに至っている。

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