株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「日本人は対コロナのスタンスをどうしたいのか」武久洋三

No.5055 (2021年03月13日発行) P.64

武久洋三 (医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)

登録日: 2021-02-26

最終更新日: 2021-02-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日本での本格的なコロナ感染は2020年2月のダイヤモンド・プリンセス号の船内クラスターから始まりました。2月13日に厚生労働省の高官から私の携帯に電話が掛かり、下船する高齢者の診療を依頼されました。埼玉県和光市の税務大学校で日本慢性期医療協会の役員施設のスタッフと1週間治療に当たりましたが、「これは大事になるな!」と直観しました。その後、4〜5月にかけて急速に感染者が増えましたが、緊急事態宣言が発出された結果、感染者数は激減し、5月下旬には宣言解除となりました。その後、7月から「Go Toキャンペーン」の1つである「Go Toトラベル」が強力に遂行されると、再び感染者数は増加し、7月、8月には第2波が訪れましたが次第に収まりました。

しかし12月にコロナが再び急増しても、政府は「Go Toトラベル」を続けようとしました。12月28日にやっと中止しましたが、「Go Toトラベル」の継続はウイルスの天下である冬に感染者が急増することを無視したもので、結果は正に予想通りでした。ウイルスは人間に感染するので、人間が動けば動くほど、各地に拡散することくらい誰でも分かっているはずなのに、この冬の大流行は多分に人為的なものといえるでしょう。

2021年1月早々、再び11都府県に緊急事態宣言を出し、飲食店に午後8時以降の営業自粛を要請しました。人の移動の抑制と夜間営業自粛要請だけで、2021年2月下旬現在、ものの見事に感染者は激減しています。

するとどうでしょう。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」そのもので、感染者が減少したからと緊急事態宣言を3月7日の期限を待たずに解除しようと一生懸命になっているのです。もう去年のことを忘れたのでしょうか。幸いコロナが下火となった時期にオリンピックの組織委員会会長に橋本聖子氏を選び、必ず開催すると意気込んでいます。人の移動の制限を解除すれば、どうなるかをあれだけ学習したにもかかわらず、各知事たちは自分の地域の経済回復を優先したいのか、緊急事態宣言解除を熱心に訴えており、それに対してマスコミも非難はしていないようです。さすれば、どういう結果になるかは自明の理です。日本人はコロナに対するスタンスをどうしたいのでしょうか。オリンピック開催の可能性を雲散霧消させたいのでしょうか。せめてワクチンが、ひと通りいきわたるまで緊急事態宣言解除を辛抱できませんか。

武久洋三(医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)[新型コロナウイルス感染症]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

page top