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性同一性障害という診断名の消失

No.5051 (2021年02月13日発行) P.47

康 純 (大阪医科大学神経精神医学准教授)

登録日: 2021-02-10

最終更新日: 2021-02-09

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【性は元来多様なものであるとの当事者の主張を受け,DSM-5やICD-11が診断名を変更】

性同一性障害という言葉は近年広く知られるようになってきた。性同一性障害は精神疾患としての名称であり,WHOによるICD-101)や,米国精神医学会によるDSM-Ⅳ2)でも精神疾患の診断名として記載されてきた。かつて,ゲイやレズビアンなどの同性愛も精神疾患として扱われていたが,脱精神病理化されて同性愛を精神疾患の枠組みの中で語ることはなくなった。

海外では一般的に「トランスジェンダー」という言葉を使用している。トランスジェンダーは当事者たちが使いはじめた言葉であり,ジェンダー・アイデンティティーやジェンダー表現が,出生時に割り当てられた性別とは異なっている人々のことを示す。

トランスジェンダーの人たちは,元来,性は多様なものであるとして,性の多様性を精神疾患としてとらえることに反対している。このような主張を受けてDSM-53)では,診断名が性別違和(gender dysphoria)に変更されたが,精神疾患の枠組みには残った。さらに,ICD-11ではgender incongruenceに診断名が変更され,精神疾患の枠組みから外されて,性の健康に関する状態(conditions related to sexual health)という項目に分類された。

【文献】

1) World Health Organization:ICD-10. 1992.

2) American Psychiatric Association:DSM-Ⅳ. 2000.

3) American Psychiatric Association:DSM-5. 2013.

【解説】

康 純 大阪医科大学神経精神医学准教授

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