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肺癌に対する免疫療法

No.5044 (2020年12月26日発行) P.49

小林信明 ( 横浜市立大学呼吸器病学講師)

金子 猛 (横浜市立大学呼吸器病学主任教授)

登録日: 2020-12-28

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 【抗PD-1/PD-L1抗体以外の展望】

近年の肺癌治療では,免疫細胞のブレーキとなるPD-1/PD-L1経路を標的とした免疫チェックポイント阻害薬が標準治療のひとつとなった。

免疫チェックポイントにはPD-1以外にも複数の有望な分子があり,多くの臨床試験が進行中である。中でもTIM3抗体とLAG3抗体は固形腫瘍を対象としてphase 2試験に進んでおり,肺癌への展開が期待される1)。また,これらと反対の作用である共刺激分子のアゴニスト抗体の可能性も模索されている。その1つである4-1BB抗体は近年,免疫チェックポイント阻害薬との併用で有望な結果が報告されている2)

免疫チェックポイント以外では,リンパ球系の腫瘍に対するCD19を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法が相次いで承認された。これは,患者のT細胞に腫瘍特異抗原を認識する受容体を遺伝子工学的に発現させ体内に戻す自家免疫療法である。肺癌では,症例ごとに異なる腫瘍抗原を発現させる必要があり,テーラーメード医療のアプローチが必須である。ほかにも,腫瘍溶解ウイルス療法やToll様受容体を介した免疫療法など多くの治療が開発中で,筆者らも新規合成核酸による抗腫瘍免疫療法の有用性について報告している3)。これらの新しい免疫療法により肺癌の治療成績がさらに向上することを期待したい。

【文献】

1) Marin-Acevedo JA, et al:J Hematol Oncol. 2018;11(1):39.

2) Massarelli E, et al:J Immunother Cancer. 2016; 4(Suppl 1):O7.

3) Kobayashi N, et al:J Immunol. 2013;190(4): 1882-9.

【解説】

小林信明*1,金子 猛*2  横浜市立大学呼吸器病学 *1講師 *2主任教授

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