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【識者の眼】「今こそ、ふれあいのある通い場のあり方を考えよう」中村悦子

No.5044 (2020年12月26日発行) P.59

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)

登録日: 2020-12-17

最終更新日: 2020-12-17

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「さわやか福祉財団」をご存知でしょうか? さわやか福祉財団とは、弁護士・元検察官の堀田力氏が1991年に設立した公益財団法人です。子どもから高齢者まですべての人が、それぞれの尊厳を尊重しながら、いきがいをもって、ふれあい、助け合い、共生する地域社会(新しいふれあい社会)の構築に寄与することを目的とした活動を展開しています。私は8年前から「さわやか福祉財団」の「さわやかインストラクター」として「居場所(通い場)作り」を学んできました。

皆さんには通い場がありますか? 家があっても通い場がない人がいます。一方、身寄りがなくても通い場がある人もいます。

私が「みんなの保健室わじま」を作ろうと思ったのは、突然の病死で夫を失った女性が寂しくて自宅にいられずに町の中を彷徨っている姿を見たのがきっかけでした。リュックを担いで町の中を無心に歩く彼女を見て、大切な人を亡くすと家も居場所ではなくなるのだと知りました。

長い人生の中で誰もが様々なドラマを経験し、泣いたり笑ったりしながら成長していくと思います。そんな自分の喜怒哀楽を受け止めて、語り合える仲間がいて、そこに美味しいお茶や食べ物などがあれば、どんな場所でも快適空間になると思いませんか? そしてさらに、そこに専門職がいたら最高です。専門職じゃなくても「単なるおせっかいおばさんや、おじさん」でもいいのです。

今年は、コロナ禍で交流の場やイベント等が次々と中止になりました。外食もできなくなり活動量や運動量が減り、筋力が低下する高齢者が続出しています。その結果、栄養の過不足に陥り、糖尿病等の生活習慣病が悪化したり、入院しても面会制限等で認知症が進んだ高齢者も少なくありません。

やみ雲に行動を制限するのではなく、ソーシャルディスタンスを遵守しながら、この厳しい状況をどう乗り越えるかを語り合う空間(通い場)が必要だと思います。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[コロナ禍での交流][コミュニティナース]

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