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【識者の眼】「『赤信号』大阪:現場で起こっていること」細井雅之

No.5043 (2020年12月19日発行) P.53

細井雅之 (大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)

登録日: 2020-12-08

最終更新日: 2020-12-08

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2020年12月6日の朝日新聞第3面に「高齢者集中する病院や福祉施設、相次ぐクラスター死者急増、重症判断なく急変も」という見出しで以下の記事がありました。

「年代別では70代以上が9割となっている。府は死者増加の背景には、相次ぐクラスターの発生があると分析する。(中略)府が10月10日〜11月29日の死者88人について分析したところ、感染経路は施設等関連が54%で最も多かった。88人のうち17人は重症病床に入院していて死亡したが、71人は重症と判断されない状況で亡くなった。府によると、急に症状が悪化する高齢者や、人工呼吸器の装着などに耐える体力がなく、人工呼吸器が整備された重症病床に移らないまま亡くなる高齢者も多いという」

ちょうどこの3日前に、大阪の感染症専門医の先生が大阪の開業医の医療ネットワークに以下のように報告されていた。

「高齢者施設や療養型病院で感染した患者さんは、多くの場合は集中治療室にも入りませんし、人工呼吸器もECMOも装着しませんので、重症患者には数えられません。悲しいことですが、年齢や患者背景から、救命すべきと判断された人だけが急性期病院の重症ベッドに入院できる状況です。それでも重症病床運用数137床、重症患者数114名、重症病床運用率83.2%(11/29時点)と、重症病床が残り少なくなっているのが大阪の現状です。重症患者さんに数えられず、亡くなっている人が多数いることは知っておく必要があります」

小生は愕然としました。実際には重症でも、「コロナトリアージ」により重症と扱わないケースも少なくないのが現状ということです。もう既に「医療崩壊」が起こっていると言わざるをえません。このご発言に対し、医療ネットワークの先生が医師会にできることは何かないかと動き出されたところです。現場からの医療連携が立ち上がっています。

細井雅之(大阪市立総合医療センター糖尿病内分泌センター糖尿病内科部長)[新型コロナウイルス感染症][病診連携⑧]

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