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【識者の眼】「大きな荷物を抱えて、大きな嵐からのレジリエンス」神野正博

No.5044 (2020年12月26日発行) P.60

神野正博 (社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)

登録日: 2020-12-08

最終更新日: 2020-12-08

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レジリエンス(resilience)。最初にこの言葉を聞いたのは、2015年に国連で開かれたサミットで世界のリーダーたちによって決められた持続可能な開発目標(sustainable development goals:SDGs)の中での表現だったと思う。SDGsは、2030年に向けた国際社会共通の目標であるとされている。

「強靱性」と訳され、17の目標の中で、「1. 貧困をなくそう」「11. 住み続けられるまちづくりを」「13. 気候変動に具体的な対策を」「14. 海の豊かさを守ろう」といった部分のターゲットの中で表現されている。わが国に当てはめると、環境問題を背景に最近激甚化する災害に耐えうる強固な国土づくりだろうと思った。

一方、現地時間の11月16日に宇宙飛行士の野口聡一さんを乗せて飛び立ったスペースX社の宇宙船「クルードラゴン」(Crew-1)の機体が「レジリエンス」と名付けられたことが明らかになった。「困難から回復する力」と訳された。

レジリエンスは、同じ強靱でもrobustとも表現されるカチンコチンではなく、接頭に“re”が付いたごとく、復元力、跳ね返り力を意味しているようだ。そう、我々は、日本の社会は、世界は、このコロナ禍という困難な時代から回復せねばならい。そういった意味で、新たな未来に向けてのレジリエンスの気概が求められていると言えよう。

起こりつつある少子高齢社会、人口減という大きな荷物を抱えながら、日本の社会はコロナ禍という大きな嵐を被った。ここから回復するためには、形振りかまっていられない。「元には戻らない」「コロナによって先が早くなっただけ」「未来にやるべきことを今やる」必要があるだろう。

未来では、価値観の変容が、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)が待っているに違いない。我々だけの価値観、すなわち医療提供者の視点ではなく、コロナで学習した(学習してほしい)新しい社会生活、すなわちリモート、バーチャルな取り組みにいかに対応していくかが求められているだろう。

コロナ禍からのレジリエンスのためには、我々は想像を超える取り組みを結集させねばならない。そういった意味で、イノベーションを引き起こすチャレンジにワクワクできる2021年にしたいものだ。

神野正博(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長)[2021年]

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