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【識者の眼】「かかりつけ医と地域包括ケア(4)」鈴木邦彦

No.5043 (2020年12月19日発行) P.56

鈴木邦彦 (医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長、茨城県医師会会長)

登録日: 2020-11-30

最終更新日: 2020-11-30

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新専門医制度はかかりつけ医にも大きな影響を及ぼすと思われます。まず更新のハードルが上がることにより、専門医を維持できないかかりつけ医が続出する恐れがあります。

わが国の医師は高齢になっても働き続けたいという使命感が強く、臓器別専門医として一定年齢まで病院に勤務した後、開業して専門性を持ちつつより幅広い診療を行うかかりつけ医となります。このように、かかりつけ医として再度社会に貢献するという働き方は、まさに生涯現役社会を先取りするものです。また、卒後5年で専門医としての総合診療専門医が誕生する一方で、長年にわたって地域医療に貢献して来たかかりつけ医は、専門医資格を持たない医師となる問題も生ずると思われます。さらに、病院でも病院総合医の必要性が高まっていますが、各病院団体がバラバラに養成しているのが現状です。

このまま総合診療専門医が増えるのを待っていては超高齢社会に間に合わず、かと言って一気に増やそうとしても賛同を得ることは難しいと考えられます。わが国の医師のライフコースを活かしつつ、かかりつけ医のプライドを維持しながら、病院総合医や総合診療専門医とも連携できる新たなかかりつけ医のあり方を、もう一度検討する必要があるのではないかと考えています。

私は2年半前に4期8年務めた日本医師会常任理事を退任しましたが、病気で辞めざるを得なかったため、2つやり残した仕事がありました。1つは地域包括ケアシステム、もう1つがかかりつけ医です。いずれも私が事実上日医の初代担当でしたが、地域包括ケアシステムについては、退任後に横倉義武名誉会長のご了解を得て昨年、日本地域包括ケア学会を設立させていただきました。ちなみ第2回大会は2021年3月21日にオンラインで開催する予定です。しかし、かかりつけ医をより安定したものにすることは退任後ではどうしてもできませんでしたので、中川俊男会長を始めとする現執行部に引き継いでいただけることを心から期待しております。

鈴木邦彦(医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長、茨城県医師会会長)[地域包括ケアシステム④]

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