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【識者の眼】「地域における医師と鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師との連携・協働(2)」石橋幸滋

No.5041 (2020年12月05日発行) P.61

石橋幸滋 (石橋クリニック院長)

登録日: 2020-11-12

最終更新日: 2020-11-12

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前回(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15880)、東洋医学や柔術などの伝統技を基にした技術を提供している鍼灸マッサージ師、柔道整復師について紹介しましたが、彼らは整体師やカイロプラクティックとは違い、国家資格を持った治療師で、その技術を提供するのに医師の許可はいりません。ただし、健康保険診療を行う場合は医師の療養費同意書が必要で、例えば、はり・きゅうは神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症、その他慢性的な疼痛があり、医師による適当な治療手段のない場合に保険診療が認められます。

私たち開業医は、患者の求めに応じて同意書を書きますが、一般的には6カ月、変形徒手矯正術に関しては1カ月ごとの更新が求められていますので、これがかなりの手間だと思われている先生も多いのではないでしょうか。また、どこまでその治療効果があるのか、痛みが楽になっても数日すると元に戻ってしまうことも少なくない治療に意味があるのだろうかという疑問も残り、痛み止めを飲み続けなければならない治療とどれほどの違いがあるか、私にはなんとも言えません。

しかし、中には症状が改善し治療が必要なくなる患者さんもいますし、現実に多くの人が、鍼灸マッサージ指圧や接骨院(整骨院)に通院している現状を考えれば、必要な医療資源と考えるべきでしょう。

一方で、災害現場や避難所において彼らの活動が大変喜ばれたことも事実です。東日本大震災の折、避難所の硬い床で生活していた高齢者や日中慣れない片付け作業をしていた人たちにとって、疲れた身体をほぐしてくれて、ゆっくり話を聞いてくれる彼らのボランティア活動が何よりありがたかったという声をよく耳にしました。災害対策でも彼らの協力は必要不可欠なので、私たちは彼らの技量と活動をしっかり見極め、地域で協力していく必要があると思います。

注意すべきは施術者個人の技量に大きな差があるのはもちろん、その技術を評価することが極めて難しいことです。そのため、日頃の情報収集と顔の見える関係づくりが求められています。

石橋幸滋(石橋クリニック院長)[多職種連携・協働]

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