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【識者の眼】「地域における医師と鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師との連携・協働(1)」石橋幸滋

No.5040 (2020年11月28日発行) P.59

石橋幸滋 (石橋クリニック院長)

登録日: 2020-11-12

最終更新日: 2020-11-12

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皆さんは鍼灸師(はり師、きゅう師)、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の違いが分かりますか。彼らがどのような資格を持ち、どのような勉強をしてきて、どのようなことができるか、そして彼らの技術が診療にいかに役立つかをよく知っている医師はそう多くありません。

例えば、鍼灸師という資格はなく、「はり師」と「きゅう師」という国家資格があり、両方持っている人を鍼灸師と呼びます。この資格を取るためには3年間の鍼灸系専門学校を卒業するか、鍼灸学科のある4年生大学を卒業して国家試験に合格して、晴れて「はり師」と「きゅう師」の免許がもらえます。

また、「あん摩マッサージ指圧師」も3年間の専門学校を出て国家試験に合格すれば資格をもらえますが、その専門学校は全国で104校しかなく、多くは「はり師」と「きゅう師」の資格も同時に取れるようになっており、この3つの資格を持つ人を「鍼灸マッサージ師」もしくは「三療師」と呼びます。

それぞれの技術の違いは、あん摩が衣類の上から遠心性の施術を用いるのに対して、マッサージでは直接皮膚に触れて求心性の施術を行います。また、指圧はあん摩、導引術(気をコントロールする技術)そして柔道の手技を取り入れた1点に圧を加える特殊な技法です。東洋医学を基本としている鍼灸治療では、体の経穴(ツボ)をはりで刺激したり、お灸の熱で温め、自然治癒力を引き出して患部を改善させたり、免疫力を高めたりします。

一方、柔道整復師も3年間の専門学校もしくは大学を出て国家試験に合格して初めて柔道整復師を名乗ることができます。柔道整復師は元々柔術と呼ばれる日本古来の武術における活法(負傷者を蘇生したり、治療したりする術)を進化させ、骨や関節を整復・固定し、じん帯や筋・腱などの損傷を改善する負傷者への治療法として受け継がれてきました。最近は、スポーツや介護の分野で活躍する柔道整復師も増えてきており、その活動の場が広がっています。

石橋幸滋(石橋クリニック院長)[多職種連携・協働]

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