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【識者の眼】「実務委員会の活動:改定前年に行われる厚生労働省とのヒアリング」岩中 督

No.5037 (2020年11月07日発行) P.62

岩中 督 (外科系学会社会保険委員会連合会長、埼玉県病院事業管理者)

登録日: 2020-10-27

最終更新日: 2020-10-27

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各領域の学術団体と厚生労働省との診療報酬に関するヒアリングは、診療報酬改定年の前年の夏に行われている。各団体はその年の6月頃までに、外保連試案に収載された内容をもとに、新規要望や改正要望の提案書を保険局医療課に提出するが、その中でも特に要望を通したい重点項目について、直接厚生労働省の担当官と意見交換をする機会が与えられている。このヒアリングは外保連にも行われる。外保連は100以上の加盟学会の取りまとめを行うことが主務とされていることから、外科系領域全体の利益を求めて総論的な意見交換を行っている。ヒアリングの持ち時間は各団体が30分前後と短いため、日本外科学会、日本臨床外科学会の保険診療委員会と合同で約1時間半の持ち時間でヒアリングに取り組んでいる。これら両学会は、多くのサブスペシャルティの領域を包含していることから、外保連と同様、個別の提案より総論的な内容の意見交換を是としているため、外保連と協働的に活動することに理があると判断していただいている。

2020年の改定に向けた外保連のヒアリングでは、①No.5028で述べた手術試案と診療報酬間の乖離の大きい手術の増点、②技術料と材料費の明確な分離、③2010年以来増点されていない術式の見直し、④No.5033で述べた同一皮切複数手術の評価、⑤高額備品を使用するロボット支援手術などの増点、などにつき、図表を示しながら具体的な提案を行った。また、深夜・休日加算1の算定要件(当直医師6名以上)の緩和や長時間麻酔管理加算の適応拡大なども含め、新設要望164項目、改正要望208項目を提案した。技術全体の平均採択率は30%を下回るのが通例であるが、外保連を通して提案する項目の採択率は毎年35〜50%と高く、今回改定でも新設要望64項目(採択率39.0%)、改正要望87項目(採択率41.8%)が採択された。残念ながら、今回改定においても深夜・休日加算1の算定要件は緩和されなかったが、加盟学会の真摯な外保連活動に応えられるよう、引き続き気を引き締めて活動していきたい。次稿では、実務委員会のもう一つの活動、緊急要望の取りまとめについて述べる。

岩中 督(外科系学会社会保険委員会連合会長、埼玉県病院事業管理者)[外保連]

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