株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS 新型コロナ感染症による死亡リスクに血清亜鉛値の低さが関連─欧州学会で発表

No.5036 (2020年10月31日発行) P.68

登録日: 2020-10-22

最終更新日: 2020-10-22

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した際、医療チームが治療サポートとして使用したことでも注目されている「亜鉛」「ビタミンD」「メラトニン」。このうち亜鉛に関してCOVID-19患者の生存率に関連していることを示唆する研究が欧州の学会で発表された。米国の医療情報サイト「Medscape」が10月8日に報じた。

「Medscape」によると、欧州臨床微生物感染症学会(ESCMID)のCOVID-19会議においてスペインのグエリ・フェルナンデス博士らが、バルセロナの大学病院に入院したCOVID-19患者の空腹時血清亜鉛値を分析した研究をもとに、ベースラインの血清亜鉛値が低いCOVID-19患者は生存率が低下すると発表。

50µg/dL未満は死亡リスク2.3倍

研究対象となった249人の患者のうち、生存者の血清亜鉛値は63.1µg/dLだったのに対し、死亡した患者は43µg/dLと有意に低く、入院時の血清亜鉛値が50µg/dL以上の場合と比べ50µg/dL未満のケースでは院内で死亡するリスクが2.3倍に増加したという。

日本臨床栄養学会の「亜鉛欠乏症の診療指針2018」では、血清亜鉛値60µg/dL未満を「亜鉛欠乏症」、60~80µg/dL未満を「潜在性亜鉛欠乏」としており、血液中の亜鉛濃度を少なくとも60µg/dL以上のレベルに維持することがCOVID-19による死亡を防ぐ意味でも重要であることが裏付けられた格好だ。

【関連記事】

「年のせい」と見落としやすい 高齢者フレイルに潜む低亜鉛血症

[特集]日常診療で診る亜鉛欠乏症(監修:児玉浩子)

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top