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【識者の眼】「地域栄養ケアを学び、伝え、実践する」中村悦子

No.5035 (2020年10月24日発行) P.54

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)

登録日: 2020-10-08

最終更新日: 2020-10-08

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2004年、前任の病院で栄養サポートチーム(NST)が稼働したのは、病院内で訪問看護を立ち上げて5年目でした。当時は「訪問看護師のくせに食事や輸液管理に口を出す」と批判されたり、栄養障害がある患者さんの主治医にNSTへの依頼を頼んでも断られる日々が続き、「こんな思いをしてまでNSTの活動を継続しなければならないのか」と悩みながら過ごしたこともありました。しかしながらNSTの中心的存在であった医師から「退院調整にもかかわる訪問看護師として、病院内で実践しているNSTの取り組みを地域につなげるのが貴女の仕事だよ」と言われて、2013年に病院を退職するまでNSTとして活動を続けました。

栄養サポート室の専従として活動した時は、患者さんの食事摂取状況を確認し、何を食べたかだけではなく、何を残しているか、そして残しているものを補填するものは何かをアセスメントしていました。それが経口栄養補助(ONS)の提供につながります。

NSTが稼働している病院では様々な種類のONSを活用していますが、退院すると、「どこに売っているかわからなかった」「退院したら必要ないと思っていた」などの理由で、退院後も必要な栄養管理が中断してしまうことも少なくないのが現状です。

訪問看護ステーションの管理者として地域で活動する現在でも、食支援は重要な位置を占めており、訪問看護以外でも、共生型常設型居場所としての「みんなの保健室わじま」、食を提供する「みんなのカフェわじま」、そして、地域栄養ケアを極める商品の販売事業である「みんなの健康サロン海凪」など、「必要なものを、必要なだけ、必要な人にお届けする」を実践しています。

地域には病態別の栄養管理が必要な人も沢山います。患者さんの可能性に挑むために、また穏やかな療養生活を継続するためにも地域栄養ケアを学び、地域住民に伝え、訪問看護師として実践することは、我々コミュニティナースの責務だと思います。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[コミュニティナース]

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