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特集:高齢ドライバーに対する認知機能検査と診断書の書き方─改正から3年が経過して

No.5031 (2020年09月26日発行) P.18

上村直人 (高知大学医学部附属病院精神科講師)

登録日: 2020-09-25

最終更新日: 2020-09-23

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1993年高知医科大学医学部入学。1997年高知医科大学大学院卒業。1999年より高知大学医学部精神科勤務および2014年より高知県認知症疾患医療センター勤務。

1 総論─高齢者と運転問題
・高齢ドライバーが増加し,全交通事故に占める高齢者の比率が増大している
・認知機能検査の結果,認知症が疑われる第1分類に判定されると,医師の診断を受けることが義務化された
・高齢者,特に認知症と運転問題は社会的に問題となり,医療者は法律や制度を周知しておく必要がある
・2017年3月12日から,75歳以上の高齢ドライバーは3年ごとの免許更新時と,さらに,基準行為と呼ばれる特定の交通違反を犯した時に,認知機能検査を受けることが必要となった

2 認知機能検査と認知症の関係
・認知機能検査の結果,認知症が疑われる第1分類と判定されれば,医師の判断を求められるようになった
・認知機能検査は,①時間の見当識,②手掛かり再生,③時計描画の3つの項目が評価され,点数に応じて3分類に判定される
・認知機能検査の点数に応じて,次のように判定される
 第1分類:記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)
 第2分類:記憶力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)
 第3分類:記憶力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)

3 認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成
・診断書では,認知症の診断名,所見,身体・精神の状態に関する検査結果,現時点での病状の記載が求められる
・日本医師会の「かかりつけ医向け認知症高齢者の運転免許更新に関する診断書作成の手引き」が,診断書作成の参考になる

4 対応と生活指導
・診断書作成後も運転中断後の高齢者の地域生活や,在宅指導が重要である
・免許の自主返納制度によって,移動支援や商品の割引などの特典やサービスの提供による生活支援を行うこともあるので,地域の警察の窓口での相談がベストである
・運転中断が困難な場合,任意通報制度が利用できる
・医師は運転中断のために「家族介護者のための支援マニュアル©」を活用すべきである

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