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甲状腺機能異常合併妊娠[私の治療]

No.5028 (2020年09月05日発行) P.49

古川誠志 (宮崎大学医学部産婦人科学分野准教授)

登録日: 2020-09-02

最終更新日: 2020-09-01

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  • 甲状腺機能異常の一般の有病率は10%前後と考えられ,臨床上特に問題となるのは顕性化した亢進症もしくは低下症であり,流産,早産,妊娠高血圧症候群,常位胎盤早期剥離,胎児死亡,低出生体重児や神経発達障害といった母児の合併症の頻度が増す1)。不顕性甲状腺機能低下症は,甲状腺自己抗体とヨード摂取の程度が原因となる。

    ▶診断のポイント

    機能亢進もしくは低下の診断は,甲状腺刺激ホルモン(TSH)とfree T4(fT4)の値で行う。妊娠中の機能亢進症のほとんどは,バセドウ病か妊娠初期一過性甲状腺機能亢進症である。後者では甲状腺受容体抗体や抗甲状腺抗体は通常陰性である。最近の米国甲状腺学会のガイドラインでは,妊娠中のTSH上限値は4.0µIU/mLとなっている。したがって,妊娠中の潜在性機能低下症の診断は,fT4が正常範囲でTSHが上限値を超えた場合(>4.0µIU/mL)となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    顕性甲状腺機能障害例は積極的に治療を行う。不顕性甲状腺機能亢進症は,臨床上あまり問題とはならない。不顕性甲状腺機能低下症に関して,わが国ではヨード過剰摂取を原因とする症例が多いと考えられるが,周産期予後は悪化しない2)。ただし,甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体陽性例の不顕性甲状腺機能低下症では,流早産や神経発達障害の頻度が増すという報告もあり,甲状腺ホルモンの補充を考慮する。もっとも,不顕性甲状腺機能低下症における甲状腺ホルモンの補充が,必ずしも功を奏するわけではない。

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