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■NEWS 介護医療院への転換、「移行定着支援加算」の延長求める意見も―介護給付費分科会

No.5028 (2020年09月05日発行) P.68

登録日: 2020-08-28

最終更新日: 2020-08-28

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社会保障審議会介護給付費分科会は827日、施設系サービスについて議論した。このうち2023年度末で廃止される介護療養型医療施設については、厚生労働省の調査に廃止期限後も現在の病床のまま維持する、あるいは方針が決まっていないと答えた施設が一定数あることを多くの委員が問題視。介護医療院への転換をいっそう促進する必要があるとして、「移行定着支援加算」の算定期間延長を求める意見や、介護報酬以外での財政支援策を求める意見などが出た。

厚労省が3カ月ごとに実施している介護医療院の開設状況調査によると、206月末時点の開設数は515施設・32634床となった。転換元の病床は介護療養型医療施設が全体の70.9%を占め、次いで医療療養病床(15.5%)、介護療養型老人保健施設(13.0%)が多い。介護医療院の開設数は制度創設後、緩やかに増加を続けてきたが、直近の203月から6月の3カ月間は、172施設・1896施設の増加と急増。233月末までの時限措置である「移行定着支援加算」を満額算定するには(1年間)、41日までに転換する必要があったためとみられる。

185月から204月審査分における「移行定着支援加算」の算定率は概ね90%以上で推移。19年度の介護事業経営概況調査で、介護医療院の収支差率は7.1%と高いが、厚労省は調査客体が少ないことに加え、「移行定着支援加算」算定の影響もあるため、「割り引いて考える必要がある」と説明している。

■介護療養病床の12.2%が23年度末も現状維持の意向

一方、介護療養型医療施設の転換意向調査では、23年度末時点でも介護療養型医療施設に留まるとの回答が病床数ベースで12.2%あった。移行先が未定の病床も28.9%に達し、「移行に関して院内で検討しておらず、まったくの未定」と回答した施設の割合はこのうちの10.8%に及ぶ。

こうした現状を踏まえ厚労省は21年度介護報酬改定の検討課題として、▶介護療養型医療施設などから介護医療院への円滑な移行を一層促進するための方策、▶医療の必要な要介護者の長期療養施設としての機能と生活施設としての機能をより充実させるための方策―の2項目を提示した。

その後の議論で、介護医療院への転換支援策を手厚くする必要性では委員の認識が概ね一致したものの、「移行定着支援加算」の扱いでは意見が割れた。河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事)は、「サービス提供以外の部分を加算で評価するのはいささか問題だ」と、「移行定着支援加算」の継続に否定的見解を表明。「転換支援策は介護報酬以外の形で検討するべきだ」と述べた。これに対して、大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長)は、「介護報酬は高くなるが、何らかの工夫をすることにより、『移行定着支援加算』の延長を考えてもいいのではないか」と提案した。また、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、有床診療所から介護医療院への転換について、施設基準の緩和などを検討するよう要請した。

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