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■NEWS 中間年の薬価調査を予定通り実施へ―中医協薬価専門部会が了承

No.5024 (2020年08月08日発行) P.68

登録日: 2020-07-27

最終更新日: 2020-07-27

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 中央社会保険医療協議会薬価専門部会は722日、中間年の薬価調査を当初の予定通り20209月取引分を対象に行うことを決めた。診療側は、新型コロナウイルス感染症の影響で価格交渉が進んでいない中、政府が「骨太の方針2020」に調査の実施を記載したことに遺憾の意を表明したが、▶調査対象となった医療機関の負担軽減に配慮する、▶薬価改定の実施については調査結果を見て改めて議論する―の2点を条件に、了承した。

 17日に閣議決定された「骨太の方針2020」は中間年の薬価調査と薬価改定について、「本年の薬価調査を踏まえて行う2021年度の薬価改定については、骨太方針2018等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響を勘案して、十分検討し、決定する」と明記された。これを受けて開催された22日の薬価専門部会で厚生労働省は、「中間年の薬価調査の実施を前提に骨太方針を策定したと承知している。政府方針に従い、調査の実施に向けた準備をすべく計画案についてお諮りしたい」と議論を促した。

  診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、薬価調査を行っても適正な実勢価格は把握できないというのが現場の一致した見解であるにもかかわらず、政府が調査実施の判断をしたことは、「大変遺憾だ」と述べた。その上で、医療機関の負担に十分配慮することや、薬価改定については結果判明後に改めて検討することを条件に調査の実施を了承。医療機関の負担軽減では、調査項目を満たしていれば調査票に転記せずとも、医療機関の管理するデータをそのまま提出することを可能とするよう求めた。

  一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、経済情勢の悪化が確実視される中、「薬価調査・改定の本来の目的の1つである国民負担の軽減を確実に実施するべきだ」と主張。仮に、調査で正確な実勢価格が得られなかったり、回収率が低かったりした場合も、過去の調査結果を参考に補正するなどの工夫をすれば改定を実施できるのではないかとの認識を示した。

 8月以降、薬価改定の範囲・実施方法を議論

  調査計画によると、販売サイド調査は、医薬品卸売販売業者の営業所の全数から23の抽出率で無作為抽出した営業所、購入サイド調査は、例年の半分の医療機関・薬局を客体として、209月に取り引きされた全品目の医薬品の販売価格、数量を把握する。12月上旬には結果の速報値が総会に報告される予定。なお、部会は8月以降、薬価改定の対象範囲や実施方法についての議論に入る。

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