ギリアド・サイエンシズのケネット・ブライスティング社長(写真)は4月16日、都内で開いた年次記者会見に臨み、開発パイプラインや今後の経営戦略を発表した。同社の2024年の国内売上高は前年比14%増の1485億円に上り、「全事業領域で成長がみられた」と説明。24年に発売された乳がん治療薬「トロデルビ」を軸に「今後5年で最大の成長分野にする」とオンコロジー領域の拡大に意欲を示した。
トロデルビはTROP-2たんぱくを標的とする抗体薬物複合体。「化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」(トリプルネガティブ乳がん)を適応症に24年9月に国内での製造販売承認を取得、11月に販売を開始した。
会見に同席した表雅之開発本部長は同剤について、子宮体がん、肺がんなどを含む「8つの適応で臨床試験が進行している」と述べ、「3年以内に6つの適応で承認取得を目指す」考えを明かした。
ブライスティング社長は、24年8月に「ツルバダ」がHIV-1感染症の曝露前予防(PrEP)の適応を取得したことを受け、PrEP普及に力を入れる方針を発表。ウイルス領域では「2030年までにHIV感染を終結できる可能性がある」と述べ、厚労省と協力して感染予防に取り組むと説明した。
「トロデルビ」の効能・効果/用法・用量
【効能・効果】化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌
【用法・用量】21日間を1サイクルとし、1回10mg/kg(体重)を1日目および8日目に点滴静注