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帯状疱疹の内服治療薬の使い分けのポイントは?

No.5020 (2020年07月11日発行) P.52

高井利浩  (兵庫県立がんセンター皮膚科部長)

小川浩平  (奈良県立医科大学皮膚科学教室)

登録日: 2020-07-11

最終更新日: 2020-07-07

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  • 帯状疱疹の内服治療薬の選択における考え方,注意点につきご教示下さい。奈良県立医科大学・小川浩平先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    高井利浩 兵庫県立がんセンター皮膚科部長


    【回答】

    【腎機能や併用薬等患者背景に応じて,適切な抗ヘルペスウイルス薬を選択する】

    帯状疱疹の急性期治療の基本は抗ヘルペスウイルス薬の全身投与です。わが国では1988年にアシクロビル(ACV)が発売され,抗ヘルペスウイルス薬による内服治療が可能となりました。現時点でわが国において帯状疱疹に対して使用できる内服薬は,ACVとそのプロドラッグであるバラシクロビル(VACV),Penciclovirのプロドラッグであるファムシクロビル(FCV),さらに2017年に発売されたアメナメビルの4種類の内服薬があります。

    ACV,VACV,FCVはすべてプリン骨格を持ち,3リン酸化された活性体が核酸アナログとして働き,ウイルス感染細胞でのDNA合成や伸長を阻害します。プロドラッグであるVACVとFCVは吸収効率がACVよりも良く,より効果的です。さらにACVは1日に5回の内服が必要であり,現状では第一選択とされることは稀です。VACVとFCVは通常は1日に3回の内服を行いますが,腎排泄性の薬剤であり,クレアチニンクリアランスに応じた適切な減量が必要です。過剰に投与された場合には意識障害などの精神神経系の副作用(アシクロビル脳症)を起こすことがあるため注意を要します。急性期の疼痛緩和目的の非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)との併用は腎機能障害のリスクを増大させるため,代わりにアセトアミノフェンを選択することが望ましいです。

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