【質問者】
倉島一喜 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 呼吸器内科感染症対策部長
【湿性か乾性かで投与薬を使いわけ,効果の有無を見て次の投与薬を選択】
咳嗽は,一般診療所を受診する理由の中で最も多い症状です。医療機関を受診していない人でも,10.2%が咳嗽を有していることが判明しています1)。
咳嗽は,その性状により「湿性咳嗽」と「乾性咳嗽」に分類され,さらにその持続期間によって,3週未満の「急性咳嗽」,3週間以上持続する「遷延性咳嗽」,8週間以上持続する「慢性咳嗽」に分類されます2)3)。
慢性咳嗽は感染が原因となることは稀であり,アレルギーが大きく関与するとされています。慢性咳嗽の病態を加味した治療的診断にあたっては,第一に胸部X線,採血などで感染症や肺癌などの疾患を除外します。
湿性咳嗽であれば,咳嗽の原因は喀痰の喀出です。好中球性の気道炎症である副鼻腔気管支症候群を第一に疑い,去痰薬と14,15員環系マクロライド系抗菌薬を投与し,効果があれば薬剤を減量・中止します2)3)。咳嗽が残存または薬剤が無効である場合には,他の原因疾患を検索します。
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