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免疫チェックポイント阻害薬による薬剤性肺障害

No.5019 (2020年07月04日発行) P.48

井上 玲 (横浜市立大学呼吸器病学)

金子 猛 (横浜市立大学呼吸器病学主任教授)

登録日: 2020-07-07

最終更新日: 2020-06-30

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【投与中に間質性肺疾患が出現した場合は,薬剤性肺障害を第一に疑うことが重要】

免疫システムには,免疫応答を抑制するブレーキが免疫チェックポイントとして機能している。代表的な免疫チェックポイント分子としてprogrammed cell death-1(PD-1)などの抑制性受容体があり,リガンドが結合するとT細胞の増殖やエフェクター機能が抑制され,がん細胞はこれを利用して宿主の免疫監視から逃れることができる。免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は,抑制性受容体やそのリガンドに結合することで免疫系のブレーキを解除し,がん抗原に対する免疫応答を高める。しかし,これまでのがん薬物療法と異なる特徴的な有害事象(免疫関連有害事象)が多彩な形で出現し,発現時期の予測が困難である1)

PD-1抗体であるニボルマブによる間質性肺疾患の発現率は3605例中177例(4.9%)であった2)。別の報告では,発現率は170例中20例(11.7%)で,臨床病型は器質化肺炎パターンが20例中13例で最も多かった3)。なお,非小細胞肺癌における発現時期は投与開始後18~596日(中央値:201日)であった4)

ICI投与中に間質性肺疾患が出現した場合は,ICIによる肺障害を第一に疑うことが重要である。

【文献】

1) 日本臨床腫瘍学会, 編:がん免疫療法ガイドライン.第2版. 金原出版, 2019.

2) Tie Y, et al:Int J Cancer. 2017;140(4):948-58.

3) Nishino M, et al:Clin Cancer Res. 2016;22(24): 6051-60.

4) Borghaei H, et al:N Engl J Med. 2015;373(17): 1627-39.

【解説】

井上 玲,金子 猛  横浜市立大学呼吸器病学 *主任教授

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