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病理と臨床─よりよい関係をめざして [プラタナス]

No.4717 (2014年09月20日発行) P.3

榎木英介 (近畿大学医学部病理学教室講師)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-27

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  • 病理医とは、臨床医にとってどのような存在だろうか。

    他科からの依頼で診断を提供する点は、放射線診断医と似ている。「ドクターオブドクター」と言われるゆえんだ。死因を解明するという点では、法医学とも類似性がある。基礎医学に属し、研究を行うという側面も持つ。

    複数の顔を持つ病理医であるが、それ故か、臨床医は病理医の正確な実態を知らないような気がしている。病理診断が医行為であることを知らず、「病理って医者がやるの?」と言われたこともある。基礎研究医とみなされることは日常的だ。また、「病理って楽でいいよね」と言われることも多い。近年、病理医はきわめて不足しており、実働数は1600人程度である〔厚生労働省:平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査〕。病理医の多くは多数の標本を診断せざるをえない状況にあり、とても「楽」と言える状況ではないのだが。

    病理診断に対する誤解も見聞きする。検体を出した当日に病理診断結果が出ることは基本的にない。通常では数日はかかるし、難解症例では免疫組織化学染色や、時にコンサルテーションを行うため、さらに時間を要する場合もある。しかし、午前中に病理に提出された標本の診断結果をその日の午後に問い合わせてきたり、検体を採取した患者の再受診日を中2日にしたり、「今、患者さんが外来に来ているので、今すぐ診断結果をください」とせっつかれることもある。

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