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【識者の眼】「コロナ禍での学び〜やはりお家が一番!」中村悦子

No.5019 (2020年07月04日発行) P.60

中村悦子 (社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)

登録日: 2020-06-17

最終更新日: 2020-06-17

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今回のコロナ禍では、訪問看護ステーションの休業や訪問看護回数の減少などの経営に影響する問題、感染防護具の不足などの深刻な状況が浮き彫りになっています。

当地は幸いなことに市中感染者はいませんでしたが、病院や施設の面会が厳しく制限されて不可能となりました。そのため、ナースセンターまでは足を運べても、どんな状況かわからず、どう尋ねていいかもわからない不安を相談される方が増えました。それは入院した患者さんも同じで、家族の足が遠のいたことで「自分は治らないのではないか」という不安が強くなったと、後で話してくださった患者さんがいました。

感染病棟を有する病院が新型コロナウイルス感染患者の受け入れ準備をしたことの影響を受けて、一般病棟を閉鎖せざるを得なくなり、摂食嚥下訓練半ばで「限界」と判断され退院となる患者さんもいました。「経口摂取は楽しみ程度で」「在宅医を紹介して看取りで」という申し送りで退院された方が、5月だけで3名いましたが、3名ともそれなりに食べていて発熱することもありません。介護者は、入院中にずっと面会できなかったことを悔いて全身全霊で介護しています。次に同じことが起きても自宅で看取りたいという覚悟ができています。厳しい面会制限がなければ「悪くなったら、また入院になるのかな」という思いで退院したと思いますが、今は「病院に頼らない身体作り」を実践して患者さんも介護者も頑張っています。

その家族愛に応えるために、特別訪問看護指示書を頂戴し、退院日から毎日、時には1日に複数回の訪問看護等で介護者を支えています。私が監修している「みんなのカフェわじま」のお弁当とハンドブレンダーを持参して、介護者とキッチンに立ち、ムース食やペースト粥を作って介助しています。

我々も、日に日に介護力が身についていく家族から「退院できてよかったです」という言葉を頂戴することで逆に励まされています。

中村悦子(社会福祉法人弘和会「訪問看護ステーションみなぎ」管理者)[新型コロナウイルス感染症][コミュニティナース

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