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児童虐待増加の病理はどこにあるのか [プラタナス]

No.4707 (2014年07月12日発行) P.1

市川光太郎 (北九州市立八幡病院救命救急センター・小児救急センター病院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • これだけメディアを賑わせ、多くの心ある人たちが嘆いているのに、児童虐待の増加に歯止めがかからない。その発生病理はどこにあるのだろうか。児童虐待防止法の制定で掘り起こしが増えたという意見もあったが、長年、小児救急医療の現場にいると、この10年で明らかに増加しているという印象が強い。

    実際に、虐待しているという意識はなく、ただ自分の感情コントロールがままならないことから子どもを暴力的に扱う結果、虐待と言わざるをえない身体損傷を発生させてしまうこともある。恐らく、頭部外傷(急性硬膜下血腫)は傷害が外から見えない、あるいは経験がないため、子どもがどうなるかという予測がつかないまま、(一時的な感情の場合を含めて)shakenとimpactを加えて頭蓋内損傷を発生させてしまうケースも少なくない。

    一見、幸せそうに見える家庭においても、実際には家庭・家族力が育っておらず、お互いに何か困った際には夫婦で話し合って解決していくというような力の欠如を実感してしまう。家族であっても、それだけ人間関係が希薄になってきた時代と考えるべきなのか。人間関係の礎石となる家庭・家族力をどのように醸成しながら子どもたちを健全育成していくのかについても、虐待予防を含めて考慮しなければならない時代になっている。

    残り650文字あります

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