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■NEWS 中間年の薬価改定で関係業界から意見を聴取─中医協薬価専門部会

No.5017 (2020年06月20日発行) P.72

登録日: 2020-06-12

最終更新日: 2020-06-12

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中央社会保険医療協議会薬価専門部会は610日、医薬品流通の現状について関係業界から意見を聴取した。中間年の薬価調査・改定を議論する参考にするためだが、業界側は新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療も医薬品流通も平時と異なる状況にあり、「中間年の薬価調査を実施できる状況にない」と主張。仮に実施したとしても、正確な取引価格のデータを得ることはできないと実施を困難視した。

ヒアリングには、日本医薬品卸売業連合会(卸連)、日本製薬団体連合会(日薬連)、日本ジェネリック製薬協会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)が出席した。

中間年の薬価調査・改定の実施は困難─関係業界

このなかで、卸連の渡辺秀一会長は、緊急事態宣言解除後も医療機関や薬局からの営業活動の自粛要請は続いていると説明。仮に活動を再開したとしても、未妥結減算制度を念頭においた極めて短期間での交渉になるため、単品単価契約や早期妥結などを踏まえた適切な価格交渉は困難だとし、「率直に申し上げて、中間年の薬価調査を実施できる状況にはない」と訴えた。これに加え、新型コロナウイルス感染拡大の第2波、第3波に備える必要もあり、こうした状況下で無理に薬価調査を実施したとしても、正確な取引価格のデータを得ることはできないとも述べた。

先発品メーカー3団体は、海外からの原薬調達コストが、現地工場の閉鎖や輸送ルートの寸断で増加していることに言及。「各社とも製品総原価の上昇圧力がかかっているなかで、薬価改定を考えるのは厳しい状況にある」などと説明し、中間年薬価調査・改定の見送りを要請した。

診療側は理解示すも、支払側は実施前提の検討継続を主張

質疑で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、価格交渉が進んでいない現状では、仮に調査を実施したとしても、結果の妥当性を検証できない可能性があると指摘。「検証不可能な数字をもとに改定を実施しても、エビデンスに基づいた改定にはならない」などとし、業界側の主張に理解を示した。これに対して支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、政府方針が変わらない限りは、実施を前提に調査方法を検討するのが中医協の役割だと主張。「少し出遅れた感はあるが、こういうやり方ならば可能だと模索することはできるのではないか」と反論した。

厚生労働省も、中間年の薬価調査・改定を実施する政府方針に変更がない限りは、実施を前提にした検討を部会で進めてほしいとの姿勢を崩しておらず、当面は7月中旬に予定される骨太の方針2020の閣議決定に向けた政府の動向を見守りつつ、議論を重ねていくことになりそうだ。

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