2025年には団塊の世代の全員が後期高齢者となる。増加する高齢者の医療にふさわしい医療提供体制を、どのように構築するかが大きな課題である。医療提供体制改革の絵姿は、2011年に示された社会保障・税一体改革成案でまとめられている。そのシナリオに沿って診療報酬改定や制度改正が行われてきた。
ここに来てにわかに注目されているのが、医療提供体制改革において都道府県の役割を強化しようという動きである。きっかけは、2013年に報告書がまとまった社会保障制度改革国民会議の提言である。これに基づき2014年には医療法改正が予定されているが、その内容について社会保障審議会医療部会で審議された。原案には、次のような都道府県の役割強化について記されている。
第一が病床機能報告制度の創設である。これは、病床機能を病院が都道府県に報告する仕組みである。都道府県は、これを公開するとともに地域医療ビジョン策定に活用する。
第二は地域医療ビジョンの策定である。これは、その地域にふさわしい医療機能の分化・連携を進め、医療資源の適正な配分を図ることを目的として都道府県が策定するものである。医療需要の将来予測を行うとともに、病床機能報告制度により得られた情報を基に地域医療の将来ビジョンを策定する。
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