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【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:子ども虐待のリスクに目を向けて」山田不二子

No.5015 (2020年06月06日発行) P.55

山田不二子 (認定NPO法人チャイルドファーストジャパン理事長)

登録日: 2020-05-28

最終更新日: 2020-05-28

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2020年5月25日をもって、緊急事態宣言が全国で解除されましたが、新型コロナウイルス対策としての学校休業、営業自粛、外出自粛が全面的に解除されるわけではありません。ですので、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以前の状態に戻るには、まだしばらくの時間がかかりそうです。また、経済が元に戻るにはさらに長い期間を要すると予想されています。

ということは、親子が家庭内で共に生活する時間が長くなっている状況や経済的困窮が、多くの家庭において親子関係に悪影響を及ぼし続けることになるわけです。

そこで、2020年4月7日に、日本子ども虐待医学会・日本子ども虐待防止学会・日本小児科学会の3学会が連名で、厚生労働大臣と文部科学大臣に宛てて要望書を発出するとともに、この困難な時期を乗り越えるための養育者向けメッセージを、また、子どもたちがSOSを発しやすくすることを目的とした子ども向けメッセージを公表しました。これらは、以下のウェブサイトからダウンロードできますので、是非、ご活用ください。

・日本子ども虐待医学会(https://jamscan.jp/index.html

・日本子ども虐待防止学会(http://jaspcan.org/information/covid-19

・日本小児科学会(https://www.jpeds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=23

さらに、日本子ども虐待防止学会は、保護者が新型コロナウイルスのPCRが陽性になったけれども、子どもは陰性の場合の子どもの生活場所をどうすべきか、乳児院や児童養護施設で生活する子どもたちや職員の皆さんをどうやって新型コロナウイルス感染から守るかについて、厚生労働大臣宛てに緊急要望書を発出しました。

http://jaspcan.org/wp-content/uploads/2020/05/200501.pdf

子どもたちはCOVID-19にかかっても重症化することが少ないため、とかく二の次にされがちですが、学校休業による学業の遅れという問題ほど目立たなくても、子ども虐待というリスクに子どもたちがさらされている事実に目を向けていただければと願うものです。

山田不二子(認定NPO法人チャイルドファーストジャパン理事長)[#新型コロナウイルス感染症]

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