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【識者の眼】「補完代替療法に関するランダム化比較試験:急増する報告件数」大野 智

No.5017 (2020年06月20日発行) P.63

大野 智 (島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)

登録日: 2020-05-28

最終更新日: 2020-05-28

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医薬品の効能効果を謳うためには、ランダム化比較試験にて有効性が証明されている必要があることは論をまたない。読者の先生方においては、健康食品、鍼灸、ヨガなど補完代替療法に関するランダム化比較試験は、ほとんど報告がないと思われているかもしれない。しかし、に示すように、補完代替療法に関するランダム化比較試験の報告件数は、それこそ右肩上がりで増加している。  

もちろん、すべての報告で有効性が証明されているわけではなく、有効性が示されなかった報告あるいは補完代替療法の不利益が明らかとなった報告もある。

では、論文報告件数が増加した背景には何があるのであろうか?そのひとつに、米国における補完代替療法に関する公的研究費による支援は無視できないと筆者は考える。具体的な金額で言えば、国立衛生研究所(NIH)の補完代替療法関連研究予算は年間約3.3〜5.2億“ドル”(2010〜18年)で推移している。ちなみに日本における補完代替療法(統合医療)関連研究予算は、国立医療研究開発機構(AMED)が年間約1億“円”で米国の数百分の一である。とは言うものの、筆者自身もAMEDの支援を受け鍼治療の臨床試験に取り組んでおり、補完代替療法の科学的検証に貢献していく所存である。

大野 智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)[#統合医療・補完代替療法⑥]

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