株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「診療報酬・介護報酬上のかかりつけ医の評価(1)2014年度診療報酬改定」鈴木邦彦

No.5014 (2020年05月30日発行) P.69

鈴木邦彦 (医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長)

登録日: 2020-05-20

最終更新日: 2020-05-20

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年度診療報酬改定は、2013年8月6日に公表された社会保障制度改革国民会議報告書によって、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・連携の推進という2025年に向けた明確な道筋が示された後の最初の改定でした。この報告書に対して、日本医師会は四病院団体協議会(以下、四病協)と一致して積極的に対応することとしました。その結果、同報告書公表の2日後の8月8日に発表したのが初めての日医・四病協合同提言です。その柱は二つあり、一つはかかりつけ医機能についてです。これが2016年4月から開始された日医かかりつけ医機能研修制度に発展していくことになりました。

もう一つの柱は病院類型の提案です。病院を五つの類型に分け、特に類型3の地域急性期病院は、全日本病院協会が提案していた地域一般病棟の考え方も反映させるとともに、二次医療圏の最後の砦となる急性期の大病院とは別に、今後の地域包括ケアシステムにおいて、中小病院にとって重要な機能になることを示しました。この類型3については、さらに同年11月18日の四病協の追加提言により、「地域医療介護支援病院」という仮称も付けてその必要性を強調しましたが、同改定では実現に至りませんでした。

同改定では、かかりつけ医機能の評価として、診療所を対象とする地域包括診療加算および中小病院も対象とした地域包括診療料が新設されました。その際、服薬管理は医師の業務であることを明確にするとともに、院内処方を基本とし、算定要件となる関係団体主催の研修としては日本医師会の研修のみが認められることになりました。また、同改定では、急性期後の受け入れを始めとする地域包括ケアシステムを支える病棟の充実が求められていたことから、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料が新設されました。ちなみに、同病棟が許可病床200床未満の中小病院に限り病室単位で認められたのは、日本医師会の主張が反映されたものです。

鈴木邦彦(医療法人博仁会志村大宮病院理事長・院長)[かかりつけ医③]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top