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【識者の眼】「COVID-19が大学院生へ与える影響(いわゆる『無給医』問題)」荒木優子

No.5013 (2020年05月23日発行) P.62

荒木優子 (共永総合法律事務所・弁護士)

登録日: 2020-05-14

最終更新日: 2020-05-14

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大学病院で診療行為を行っているにも関わらず、適切に給与が支給されていない医師(いわゆる「無給医」)の問題については、2019年6月に文部科学省から適切な雇用・労務管理を行うよう求める通知が出されるなどしてメディアでも取り上げられました。その後、大学によっては、雇用契約が締結されたり、時給が支払われるようになったりと一部改善されたとの声も聞きましたが、抜本的な解決には至っていないと感じていました。

2020年3月末頃から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診療に大学院生も従事しているという情報が寄せられたため、同年4月中旬に大学院生に対して、アンケートを実施いたしました。 その結果、雇用契約もなくCOVID-19の診療に従事させられており、万一感染した時の補償に関する不安や外勤アルバイトがキャンセルとなることによる収入への不安が寄せられました。アンケートで寄せられた大学院生の声の一部を紹介します。

・若手が動員されているのでむしろ大学院生がメインの戦力になっている。雇用契約なく労災も出ず、外勤を切られると月給13万円程度。コロナ部隊に選ばれることを赤紙と呼んでいる。

・無給医は絶対に改善すべき問題だが、声を上げると不利益が出るので皆見て見ぬ振りをしてきた。そして今まではバイトもできるので収入も確保できていた。もし自分が無給医のままバイトをキャンセルされCOVID-19診療を命じられるなら、家族を養えなくなるため医局をやめると思う。同じような考えの人も多く、大学病院が給料を払わなければ数多くの医局が崩壊すると思う。

・自分が濃厚接触者となり自宅待機のため休んだ期間がある。別の大学院生らは外勤返上で、時給1000円程度で駆り出されていた。

大学院生に対して臨床業務を行わせる場合には、雇用契約書を締結して実際の労働時間に相当する給与の支払いなど労働基準法をはじめとする労働法令に従った対応を求めます。また、外勤先の病院やクリニックは、外勤アルバイトをキャンセルする場合には、少なくとも労働基準法第26条に従い平均賃金の60%以上の休業手当の支払いをして頂きたいです。

荒木優子(共永総合法律事務所・弁護士)[新型コロナウイルス感染症]

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