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【識者の眼】「保険診療の講演で居眠りする研修医」工藤弘志

No.5011 (2020年05月09日発行) P.46

工藤弘志 (順心病院サイバーナイフセンターセンター長)

登録日: 2020-05-12

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雑感④(No.5010)で述べたような1980年当時の状況が現在も続いているのかどうかは知りません。私が指導医療官になった1年目の2010年にはなかったことですが、若い医師にもっと保険診療とは何かを知らしめるべきだとの意見が省内に出るようになり、翌年の11年から医師国家試験が終わった直後の初期研修医のオリエンテーションの一部として、大学病院で保険診療とは何かという講演を行うようになりました。さらに、新たに保険医療機関に指定された医療機関に行う指定時集団指導に、大学病院に勤務している以外の初期研修医も対象として保険診療に関する講演が行われるようになりました。

率直に言って、反応としてはいずれも芳しいものではありませんでした。国家試験直後の大学病院の研修医は学生気分が抜けないようで居眠りをしているか、ぼんやりしていることが多く、真剣な眼差しで聞いている研修医はわずかでした。指定時集団指導でも同様の傾向があり、何年も保険医として働き、これから自分の診療所を開業しようとする医師はよく聞いていましたが、研修医は居眠りしている姿が多く見られました。

自らを振り返っても、研修医の時は新たな臨床の知識や手技を習得するのに必死で疲れ果て、私が保険診療の講演を聞いても居眠りをしていたと思います。現在も同様に厚生局による指導(講演)が行われているのかもしれませんが、その有効性はどのようなものでしょうか。

少なくとも、療養担当規則なる、健康保険法に関する細則が存在し、保険医療機関ならびに保険医はそれを遵守しなければならないということだけは理解されなければなりません。私のような医師にならないために。

工藤弘志(順心病院サイバーナイフセンターセンター長)[保険診療雑感⑤]

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