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【識者の眼】「COVID-19による外勤禁止が招く医療崩壊」倉原 優

No.5008 (2020年04月18日発行) P.63

倉原 優 (国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科)

登録日: 2020-04-13

最終更新日: 2020-04-13

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がここまで国内に広がる前、気になるツイートを1つ見かけた。「他病院へのバイトが中止になった」というものだ。私はこの時、ある不安が頭をよぎった。大学院に入ったばかりの医師たちは大丈夫だろうか。

その後、北海道、大阪でクラスターが発生し、東京で患者数が増え始めた時、「COVID-19のためバイト禁止」という大学病院が続出したのだ。恐れていたことが現実となった。

大学病院の無給医問題はもはや一般市民にも知れ渡っているが、一番問題なのは外勤で生計を立てている医局員である。日本の中小の病院は大学病院からの派遣やバイトで成り立っているところもあり、COVID-19のために外勤が禁止になると医療崩壊は待ったなしだ。医局員の雇用契約の実態もいまだによく分からないものが多く、外勤がなくなったらどう生活していけばよいのか、路頭に迷っている医師が大勢いる。特に大学院生は、学費を払っている状態なので、下手すれば収入がマイナスになる可能性がある。

現場の医療崩壊の前に、医局崩壊が起こらないか、心配である。

倉原 優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科)[医療SNS新型コロナウイルス感染症 

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