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【識者の眼】「今こそ障害穴うめ型から能力サポート型への変換を」東 憲太郎

No.5007 (2020年04月11日発行) P.66

東 憲太郎 (公益社団法人全国老人保健施設協会会長)

登録日: 2020-04-12

最終更新日: 2020-04-07

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前回(No.5000)は介護保険制度の成り立ちと、その理念「自立支援」について述べた。今回は介護保険における「適切なサービス」について述べてみたい。わが国の介護保険制度が障害穴うめ型であることにより、様々な問題が浮き彫りになってきていることは指摘させていただいたが、今回はその1例を紹介する。

2011年以来、国の施策によりサービス付き高齢者賃貸住宅(以下、サ高住)が急増し、現在約7500施設、25万床となっている。このサ高住の多くは共通のモデルにより成り立っている。サ高住に併設しているものは、ケアプランを作成する居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、通所介護事業所の3点セットである。そして入居している方のほとんどが、支給限度額の上限まで、訪問介護と通所介護のサービスのみを利用していることが多い。通所リハビリや訪問リハビリといった、生活機能の向上に寄与するであろう医療系サービスは、全くといっていい程入っていない(社会保障審議会の資料でも明らかになっている)。ここでは、障害穴うめ型(お世話型)サービスが提供されることにより、次第に本来できていたことができなくなり、生活機能が悪化していく。そして要介護度が上がることで、さらにお世話型サービスの提供が増えるという循環モデルが成立してしまう。このモデルには医療系サービスが必要とされないからである。

少し極端に言い過ぎたかもしれないが、実際、サ高住誕生後の訪問介護と通所介護のサービス提供量の伸びは群を抜いている。もちろんサ高住の中にも、医療系サービスを含めた自立支援に資する良好なサービスを提供しているところもあろうが、少数と思われる。

介護保険は医療保険を上まわるスピードで費用が増大しており、その持続性が疑問視されている。今こそ障害穴うめ型から能力サポート型への変換が求められている。

東 憲太郎(公益社団法人全国老人保健施設協会会長)[介護保険制度]

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