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【識者の眼】「手術の相対的価格表である『手術試案』の考え方」岩中 督

No.5007 (2020年04月11日発行) P.64

岩中 督 (外科系学会社会保険委員会連合会長、埼玉県病院事業管理者)

登録日: 2020-04-09

最終更新日: 2020-04-07

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前稿(No.5000)では、外保連の成り立ちと役割について述べた。本稿では外保連試案、特に手術試案について述べる。

1982年に上梓された手術試案の初版では、手術料を構成する直接的な経費として外科医の技術料、手術に必要な医療材料費用に加え、手術で使用する特殊な医療機器の1回当たりの使用料(購入費と維持費から算出)と手術を支援する他職種の人件費を、また間接経費として手術室の維持運営費、減価償却費に加え租税公課なども含めていた。一方、病院の立地条件によって大きく変動する手術室の建設経費、使用頻度によって1回当たりの経費が大きく異なる高額の医療機器の使用料などを加えると、手術料そのものが高額になり、そもそもの外科医の技術料を適切に反映できなくなることから、現在の手術試案は手術に関わる直接的な人件費と手術で使用される償還できない診療材料費のみで構成されている。その結果、手術の実態とよく相関していることが中医協において理解され、2010年度診療報酬改定から手術の相対的価格表として高く評価されるようになった。

人件費の算出のためには個々の手術の難易度を定義する必要があり、研修医クラスで実施できる技術度Aから、神の手を持つ外科医によって行われる技術度Eまで5段階に区分し、それぞれの時間当たりの技術料を設定した。また手術を支援する看護師や臨床工学技士などの技術料は定額の時給とし、人件費=時間当たりの技術料×人員数×手術時間で計算した。

一方、手術料に包含されているいわゆる償還できない診療材料は、手技ごとに50症例の実態調査を行い、その総額を試案に収載した。これら人件費と診療材料費は、およそ4年ごとに約2000施設の医療機関で実態調査を行い、試案内容と実態が乖離する術式はそのつど補正を行っている。

試案に収載されていない技術は、診療報酬収載のための提案書を厚労省へ提出できないため、保険収載を希望する新規技術は、各委員会で領域を越えて技術度、時間などが審議されている。特に技術度Eの認定においては、議論が沸騰するのが日常である。次稿では、技術度の評価法について述べる。

岩中 督(外科系学会社会保険委員会連合会長、埼玉県病院事業管理者)[外保連]

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