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【識者の眼】「産業医のための一般企業における新型コロナウイルス感染症対策(3月18日版)」和田耕治

No.5005 (2020年03月28日発行) P.52

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2020-03-18

最終更新日: 2020-03-19

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産業医として企業を訪問される際には、現段階で以下の事項をお伝えする必要があると考えています。

1. 新型コロナウイルス感染症は、国内外で広がっている。高齢者への広がりをみせている地域もあり、死者が増加している。今後、国内で人口の多い地域は、いつ患者の爆発的増加(オーバーシュート)が起きてもおかしくないと考えて備えを。

2. 新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態宣言後に地域で感染拡大が見られた場合には、知事の権限で第45条に基づき、不要不急の外出自粛の要請や学校、興行場等の使用制限の要請等がなされる可能性がある。事業所のあるエリアが該当した場合にどう企業として動くのか。どういう業務は続け、どういう業務は減らすのか。何が社会機能維持に必要なのか。店舗は開くのか、閉じるのか。こうした頭の体操を今すぐにしておきたい。

3. 社会機能維持に関わる業態については、新型インフルエンザ等対策特別措置法の特定接種について定められた国民生活・国民経済安定分野が参考になる。新型インフルエンザ等対策特別措置法第二十八条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準に該当するかを確認する(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78ab3693&dataType=0&pageNo=1)。当面は特定接種の予定はないが、社会的使命として企業がこういう事業にあたるのかを確認しておく。

4. 社会機能維持に関わる業態においては、普段の感染対策と、感染者が社内や社員の家族に出た場合の対応などについて検討し、訓練までしておきたい。

5. 今後、流行は年単位で続くと考える。地域によって流行の波の時期や大きさは異なるが、集団免疫が得られるまでは、流行拡大を抑えるための措置として社会活動の低下や人と人の距離をあける対策が必要になる。

6. 人が集まる場を提供している事業者は、サービスのあり方や感染対策を整備したい。全国から人が集まるイベントを実施した場合に、感染が確認されると全国に広がる可能性があることから、今後も当面の実施は難しくなる可能性がある。換気が悪い、人と人との距離が近い、会話や発声がある─という3条件が揃う場は様々な対策を必要とする。

7. 海外渡航は、当面の間は、業務、個人的な理由も含めて控えることが必要である。

8. 職場での手洗いのタイミングや質がおろそかになっていないか確認する。

そのほかにもお伝えしたいことはあるが、文字数の関係で優先すべきところのみとした。これらは2020年3月18日の段階の状況に基づいた、筆者の専門的観点からの考えであることを申し添える。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症 ]

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