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特集:足白癬を完治させる7の極意

No.5002 (2020年03月07日発行) P.18

常深祐一郎 (埼玉医科大学皮膚科教授)

登録日: 2020-03-06

最終更新日: 2020-03-05

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1999年東京大学医学部医学科卒業。2010年東京女子医科大学を経て,2019年より現職

1 足白癬を正しく診断する
足白癬に臨床像が類似する疾患は多く,診断に真菌学的検査は必須であり,鏡検が感度,迅速性,簡便性,経済性で優れている。菌要素が見つからない場合,あらためて鏡検を行い,複数回陰性であれば足白癬を否定する。

2 足白癬治療の基本は外用療法
足白癬治療の基本は外用抗真菌薬である。最小発育阻止濃度の観点でみて白癬に効果が高いのは,ルリコナゾール,ラノコナゾール,アモロルフィン,テルビナフィン,ブテナフィン,リラナフタートである。

3 適切な範囲に塗布する
足白癬では白癬菌は肉眼的に所見のない部分にも存在している。よって,外用は肉眼で確認できる病巣より十分広い範囲である,両足の趾間,足底,足縁,アキレス腱部の全体に行うべきである。

4 適切な期間塗布する
症状消失後も角層のターンオーバー期間は外用を継続すると,角層が入れ替われば菌は完全に押し出される。臨床症状消失後1~2カ月は塗布を継続する。

5 刺激性接触皮膚炎に注意する
(1)病変の状態をよく観察する・合併症を先に治療する
外用抗真菌薬は刺激性を有するため,刺激性接触皮膚炎を起こすことがある。足白癬ではびらんや亀裂,強い浸軟,接触皮膚炎などの湿疹,二次感染症などの合併症を伴うことがあるが,このような病変に外用抗真菌薬を塗布すると刺激性接触皮膚炎を起こしやすいため,合併症を先に治療する。
(2)軟膏を活用する
浸軟やびらん,亀裂によって刺激性接触皮膚炎を起こす可能性のある病変では,軟膏基剤の抗真菌薬を用いる。刺激性は軟膏<クリーム<液の順に大きくなる。軟膏はべたつくが,刺激は少ない。趾間で湿潤,浸軟,びらんが起こりやすい場合には,ガーゼを挾む,5本指靴下の使用などをする。

6 アドヒアランスも考慮して剤形を吟味する
合併症のない足白癬では,患者の好みに応じて剤形を選択するとアドヒアランスの向上につながる。べたつきを嫌う患者の場合,クリームや液を使用する。足底が乾燥傾向の場合,液と比較してクリームや軟膏には基剤による保湿効果が期待できるため,亀裂の予防にもなる。

7 経口抗真菌薬も活用する
角化型など外用抗真菌薬で難治な病型や,高度なびらんや浸軟,接触皮膚炎,感染を合併するなど外用抗真菌薬が適さない場合には抗真菌薬内服を行う。テルビナフィンとイトラコナゾールのいずれを用いてもよい。
爪白癬を合併していると,足白癬を治癒に導いても爪白癬から再度感染し再発する。爪白癬の治療は経口抗真菌薬が第一選択であるため,爪白癬を合併した足白癬では経口抗真菌薬を用いるべきであり,足白癬の治療も効率よく行える。爪白癬で効果が高いテルビナフィンまたはホスラブコナゾールがよい。

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