株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「いまこそ『かぜ診療』を見直そう」具 芳明

No.5003 (2020年03月14日発行) P.58

具 芳明 (国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター情報・教育支援室長)

登録日: 2020-03-03

最終更新日: 2020-03-03

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

本稿を執筆している2月末現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が国内に広がり幅広い対応が行われています。医療を維持し乗り切るための正念場です。COVID-19はやや長めの経過をとることが特徴とはいえ、特異的な臨床症状があるわけではなく他の急性呼吸器感染症との鑑別は簡単ではありません。だからこそ、急性気道感染症の診療を今一度見直し、臨床経過や症状を丁寧に評価していく必要があります。

厚生労働省は2019年12月に「抗微生物薬適正使用の手引き第二版」を発表しました。これは2017年6月に発表した第一版(学童期以降の小児と成人が対象)に乳幼児編が加わったものです。タイトルからは薬のことだけ書いてありそうですが、外来における急性気道感染症と急性下痢症の診療の進め方が主な内容となっています。急性気道症状に対し、症状の経過から感染部位をしぼり、臨床診断に基づいて検査の必要性や抗菌薬の適応を判断していく流れはCOVID-19を意識した診療にも役立ちます。

かぜ診療は簡単なようで奥深いものです。それだけにポイントを押さえた診療を行っていく必要があります。急性気道感染症(感冒、急性咽頭炎、急性鼻副鼻腔炎、急性気管支炎)に対し、本来必要ないはずの抗菌薬が多く処方されていることが複数の研究で示されています。薬剤耐性(AMR)対策の基本軸のひとつは抗菌薬の不適切な使用を減らしていくことです。この分野も新たな知見が加わり、かつてとはずいぶん考え方が変わってきています。私が初期研修を受けた20年余り前には、急性副鼻腔炎や急性気管支炎はすべて細菌性だから抗菌薬を処方するようにと指導されました。しかし、これらはウイルス性のことも多いとわかってきましたし、急性副鼻腔炎は細菌性であっても軽症なら抗菌薬のメリットよりもデメリットの方がむしろ大きいことが示されています。かぜ診療をブラッシュアップするためにぜひこの手引きを活用していただければと思います。

具 芳明(国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンター情報・教育支援室長)[AMR対策 新型コロナウイルス感染症]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top