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うっ滞性症候群(皮膚炎,潰瘍,脂肪織炎)[私の治療]

No.5001 (2020年02月29日発行) P.44

末木博彦 (昭和大学医学部皮膚科学講座主任教授)

登録日: 2020-03-02

最終更新日: 2020-02-26

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  • うっ滞性症候群とは,下肢の静脈うっ滞,すなわち静脈圧上昇によって引き起こされる皮膚炎,紫斑,色素沈着,白色萎縮,下腿潰瘍,脂肪織炎,皮膚硬化などの皮膚障害,下腿浮腫や下肢倦怠疲労感などの総称である。静脈うっ滞の原因として,静脈弁不全による一次性静脈瘤や深部静脈血栓症,その後遺症などによる二次性静脈瘤があり,静脈瘤性症候群とも称される。立ち仕事の経歴が長い中高年に好発し,女性に多い。妊娠・出産,骨盤内手術,肥満,足に力がかかるスポーツ歴なども要因になる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    うっ滞性皮膚炎では下腿内側の下1/3,足関節内果部を中心に紅斑,点状紫斑,小丘疹に始まり,主にヘモジデリンによる高度の色素沈着を伴い,苔蘚化や浸潤局面を呈する。進行すると軽微な外傷や感染を契機に難治性皮膚潰瘍を形成する。時に脂肪織炎により圧痛を伴う硬結を触知し,線維化による皮膚硬化をきたすことがある。

    【検査所見】

    立位で下肢静脈の拡張・蛇行・静脈瘤の有無を診察する。ドプラ聴診器により深部静脈の血流や大・小伏在静脈とその分枝の逆流音を確認する。カラードプラエコー検査では静脈や静脈瘤の走行,分枝や穿通枝の局在診断が可能である。下肢造影CT検査では,深部静脈血栓や静脈閉塞の有無をみる。

    結節性紅斑,バザン硬結性紅斑,結節性多発動脈炎,壊疽性膿皮症,膠原病に伴う皮膚潰瘍等との鑑別を要する場合は,積極的に皮膚生検, 病理組織検査を行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療にあたっては患者,家族に本症の病態を十分に説明し,理解を得ておくことが重要である。治療の基本方針は下肢の安静,挙上,圧迫療法である。うっ滞性皮膚炎に対してはステロイド外用療法,潰瘍に対しては抗潰瘍薬外用療法が薬物療法の中心である。深部静脈開存,伏在静脈瘤があれば外科的治療,血管内レーザー治療,血管内高周波治療の適応を検討する。

    潰瘍がある場合は,弾性包帯を用いて内果上方から巻きはじめる。足背部で2回巻き,下腿に引きながら進めていく。弾性包帯の幅半分が重なるように,圧迫圧を調整しながら下腿から大腿末梢まで巻く。潰瘍がない場合は,治療用弾性ストッキングを用いる。サイズと圧迫圧に段階があり,下肢の長さや太さに応じて選択する。夜間睡眠時は脱いでよい。簡単に履ける場合は圧が不足している。下肢/上肢血圧比(ankle brachial pressure index:ABI)や血圧脈波検査等によりスクリーニングを行い,末梢動脈閉塞性疾患(peripheral arterial disease:PAD)を伴う場合は圧迫療法によりPADを増悪させるため,通常は行わない。

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