株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「医療介護福祉に携わる者は、ライセンスを持った“professional care提供者”」杉浦弘明

No.5000 (2020年02月22日発行) P.21

杉浦弘明 (すぎうら医院理事長)

登録日: 2020-02-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちの医院は1995年に開業して今年25周年となります。開院当時に通院しておられた方の中に現在は当院から訪問診療している方がいます。「長年外来に来られた方で身体機能が徐々に低下し通院できなくなった方」「悪性腫瘍等のため家庭で最期を迎えたいと考えている方」に役立ちたいという2つの思いから、7年前に訪問診療を開始したのです。私たちは、がん患者に対する自宅での緩和ケアのための訪問診療と、徐々に身体能力が低下する高齢者のための訪問診療は、疾患の進行スピードや患者さん・ご家族の年齢構成も異なるので、分けて取り組んでいます。また、抗癌剤がより効果的になり患者さんの存命期間が劇的に延びているため、在宅での緩和ケアの在り方も毎年変わってきています。

当院には5名の医師がいます。2名は外来と訪問診療兼任、2名は訪問診療専任、1名は非常勤で、120名の患者さん宅を訪問しています。夜間休日は6医療機関の輪番で宅直し、機能強化型在宅療養支援診療所として24時間365日体制を運用しています。執筆中の今はまさに、オンコールの状態です。人体は全て消化吸収された栄養から成り立っていることに鑑み、訪問診療では特に栄養指導を重視し、2016年4月から管理栄養士2名による在宅訪問栄養指導を行っています。

私は常々「医療介護福祉に携わる者は、ライセンスを持った“professional care提供者”(専門性を生かしたお世話をする人)」と思っています。どの職種の方も患者さんのお宅で行うことは人と直接関わるアナログなことです。一方で複数の医療・介護・福祉施設が協働して在宅ケアを行うためには、デジタルな情報交換の利用が望ましく、そのために島根県の医療情報ネットワークシステム「まめネット」を活用しています。

団塊の世代が健康寿命75歳を超える2025年以降、医療・介護・福祉サービスの需要急増が予測され、その対策が急務とされています。本企画では上述の当院の訪問診療、地域医療情報ネットワーク、訪問栄養指導の症例の取りまとめやケースレポートを通して、当地域が迎えるであろう2025年問題を予測して対応策を検討し、全国の他地域の先生方のご参考にしていただきたいと思います。

杉浦弘明(すぎうら医院理事長)[地域医療]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top