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■NEWS 地ケア入院料、在宅実績要件などを見直しへ─中医協・総会

No.4990 (2019年12月14日発行) P.66

登録日: 2019-12-03

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中央社会保険医療協議会・総会は11月29日、「地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)」、「回復期リハビリテーション病棟入院料」などについて議論した。このうち「地域包括ケア病棟入院料」について厚生労働省は、自院の一般病床からの入棟割合が特に高い医療機関への対応や、在宅医療の実績要件の見直しなどを検討することなどを提案。「回復期リハビリテーション病棟入院料」は、FIM測定の精度向上を図る観点から、入棟時のFIMの値などの患者への説明を求める見通しとなった。

地ケア病棟は、ポストアキュート機能、およびサブアキュート機能を担うことが期待されているが、2018年度改定の検証調査結果によると、患者の入棟元は、自院の一般病床が最も多く、特にその割合が高い400床以上では64.7%に達する。また、入院料1、3に設定されている実績要件のうち「在宅医療等の提供」では、訪問診療の実績と、同一敷地内の施設での介護サービスの提供の2項目に届出施設の選択が集中し、入院医療等の調査・評価分科会で項目見直しの必要性が指摘されていた。

開放型病院共同指導料の算定は要件厳しく困難─診療側

こうした実情から厚労省は、自院の一般病床からの入棟患者割合が特に高い施設への対応と、在宅医療に関する実績要件の見直しを論点として示した。診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、自院の一般病床からの転棟について、「規模の大きいところは自院からの転棟や(在宅療養患者の)急性増悪時の受け入れについて要件を検討するべきだ」と病床規模を加味した要件設定を提案。在宅医療の実績要件では、選択割合が低い項目について、▶訪問看護の提供実績は、訪問看護が介護保険優先であるために医療保険での算定数が伸びない、▶「開放型病院共同指導料(I)・(Ⅱ)」は、「地ケア病棟入院料」算定病棟では別途算定できないため、算定が進まない─と理由を説明し、見直しの必要性を訴えた。

これに対して支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「自院の一般病床からの入棟割合が特に高い病院は、在宅からの急変時の受け入れと在宅復帰支援の基準に他院からの入院割合を設定するべきだ」と主張。在宅医療の実績要件では、同一敷地内の施設での介護サービスの提供について、新たに提供実績による要件を設定して、厳格化する案を示した。

DPC対象病棟から転棟・転室した場合の扱いも議論した。現行ルールでは、病棟を移る場合は「地ケア病棟入院料」に切り替えて算定、同一病棟内の地ケア病室に移る場合はDPC/PDPSの点数を引き続き算定とルールが異なる。これに加えて、前者のケースではDPC病棟から地ケア病棟への転棟時期がDPC/PDPSの点数が「地ケア病棟入院料」を下回るタイミングに集中している点を問題視する声があがっている。厚労省は、DPC/PDPSの継続算定に統一したい意向で、総会でも特に異論は出なかったが、診療側の松本委員は、様々なケースが想定されるとして、具体的な制度設計を理解できるようなイメージの作成・提出を厚労省に要請した。

患者との情報共有でFIMの精度・客観性を担保

「回復期リハビリテーション病棟入院料」では、FIM測定の精度向上と客観性の担保が課題となっている。18年度改定では、入院料1、3、5について、FIM得点に基づく実績要件(リハビリテーション実績指数)が入ったが、改定前後の経年変化では、回リハ病棟入棟時のFIMは、発症から入棟までの日数に関係なく低下傾向にある一方、入院時と退院時のFIMの変化は、入棟時FIMの高低に関係なく、増加傾向にあった。

こうした点に支払側の幸野委員は、「入棟時のFIMが下がったのは実績要件が入ったことによる人為的な対応が想定される」と強い問題意識を表明。「入棟時FIMと目標FIMを患者に説明することを義務付ければ、患者にもわかりやすく、適切な設定になるのではないか」との考えを述べた。診療側の松本委員は、あくまで運用上の問題だ、と恣意性を疑う意見を否定した上で、「FIMの測定結果を患者に説明して、共有するなど、医療機関にとって無理のない範囲での対応が望ましい」と述べた。

この日は、入退院支援もテーマに取り上げられ、厚労省が「入院時支援加算」の上位区分の設定を提案した。新区分は、入院前の評価について、現在は任意とされている項目を含む、全項目の実施を求めることを想定したもの。委員からの反対意見の表明はなかった。

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