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腎盂腎炎[私の治療]

No.4988 (2019年11月30日発行) P.44

髙橋 聡 (札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座教授)

登録日: 2019-12-01

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  • Ⅰ. 急性(単純性)腎盂腎炎

    急性(単純性)腎盂腎炎は腎盂・腎実質を主病変とする感染症で,急性膀胱炎に続発する。尿路や全身に明らかな異常を認めない場合には単純性腎盂腎炎,尿路閉塞など尿路や全身に基礎疾患を認める場合には複雑性腎盂腎炎と称する。

    ▶診断のポイント

    尿路感染症としては,急性膀胱炎では発熱を認めないが,急性腎盂腎炎では発熱を伴う。急性腎盂腎炎は全身倦怠感・脊椎肋骨角の叩打痛を認める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療の基本は,抗菌薬投与・脱水の補正・症状の緩和である。治療方針としては,自ら十分な飲水が可能かどうか,症状の制御が可能かどうか,ということで判断することとなる。また,過去に急性腎盂腎炎を繰り返していないかどうか確認することは重要である。
    飲水が可能で,全身倦怠感や背部痛などの症状の制御が可能であれば,経口抗菌薬での外来治療が可能である。採血で炎症反応や腎機能を確認し,尿培養を提出し,キノロン系抗菌薬を投与する。その地域の感受性分布でキノロン耐性大腸菌の分離頻度が高ければ,経口抗菌薬を選択する。飲水が十分にできない,全身倦怠感の程度が強いなど外来治療が難しいと判断した場合には,入院での治療を提示する。採血,尿培養など一連の検査は外来治療と共通であるが,脱水の補正も含めて輸液と静注抗菌薬を選択する。静注用のセファロスポリン系抗菌薬を選択する。外来治療と入院治療,いずれも最初にアミノグリコシド系抗菌薬を単独で,もしくは経口抗菌薬と併用し投与する。

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