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■NEWS 入院料の「認知症ケア加算1、2」の要件見直しへ─中医協・総会

No.4988 (2019年11月30日発行) P.68

登録日: 2019-11-22

最終更新日: 2019-11-22

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中央社会保険医療協議会・総会は1120日、認知症対策や訪問看護などをテーマに意見交換した。このなかで厚生労働省は、入院料の「認知症ケア加算1」について、認知症ケアチームにおける医師の配置要件の緩和を提案。支払・診療側から特に反対はなかった。

厚労省によると、20187月1日時点の「認知症ケア加算」の届出医療機関は3339施設だが、そのうち「加算1」は517施設と、2割に満たないのが現状だ。「加算1」は、認知症ケアチームの構成員として、精神科か神経内科で5年以上の経験、または認知症治療の研修を修了した専任の常勤医師の配置が求められることが届出の障壁になっているとみられ、非届出施設の調査でも、届出をしていない理由の上位に入っている。

一方、「加算2」は、「加算1」のように、認知症に関する専門性の高い看護師の配置が要件化されていないが、「加算2」を算定する「急性期一般入院料1」の届出施設や特定機能病院の3割以上が、実際にはこれら看護師を配置。身体的拘束の実施患者や実施日数の減少で、一定の成果を挙げている。

このため厚労省は、「認知症ケア加算1」の医師に関する要件の緩和と、「同加算2」での専門性の高い看護師の配置の要件化を提案。せん妄の適切な予防を推進する観点から、予防に最も効果的とされる入院早期のリスクスクリーニングと多要素介入(認知機能に対する見当識維持の介入、早期離床など)の実施など、標準的な取り組みを行う体制を新たに評価する案も示した。いずれの案にも反対意見はなかったが、「認知症ケア加算12」について、松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「現行の評価は少し大雑把で、12の間に落ちてしまった現場の取り組みが評価されていない。実態に合った評価に見直してはどうか」と述べた。

PTなどによる訪問看護、週4日目以降の扱いが検討課題に

このほか、1ラウンド目の議論でも問題になった理学療法士など(作業療法士、言語聴覚士含む)による訪問看護について改めて審議。厚労省のデータによると、▶PTなどの割合が高い訪問看護ステーションは、「24時間対応体制加算」の届出割合が低い、▶PTなどによる訪問看護の割合が高い利用者は看護ケアや医療処置の実施が少ない、▶特別訪問看護指示書の交付があった場合などに限って認められる週4日目以降の訪問看護をPTなどが行なっている利用者では、医療的なケアを必要とする状態にある割合が少ない─ことがわかっている。

こうした実情を踏まえて厚労省は、▶PTなどによる週4日目以降の訪問看護の評価のあり方、▶訪問看護計画書と報告書に訪問する職種を記載する─についての検討を求めた。週4日目以降の訪問について、松本委員は、そもそも医療ニーズの高い患者を対象にしたものだと指摘し、「理学療法士が行う場合は、医師が改めて必要性を指示書に記載するなどの対応を検討してはどうか」と提案。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「訪問者によって実施する処置が異なるのに、一括りにしていいのか。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は医療処置以外の行為の可能性があるので、これを一括りにしないで点数設定すべきだ」との考えを述べた。

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