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【OPINION】矯正医療の現状と課題─矯正医官に係る特例法施行の背景

No.4799 (2016年04月16日発行) P.16

奥村雄介 (法務省八王子医療刑務所長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 1. はじめに〜矯正医療とは

    矯正医療とは司法手続によって犯罪者や非行少年を強制的に収容している矯正施設の中で行われる医療であり、法務省矯正局の管轄下にある。被収容者の健康管理は国の責務であり、疾病の予防・診断・治療は各施設に配置された矯正医官が中心となって行われ、医療費は原則国費で賄われる。医療の対象が犯罪者や非行少年であり、拘禁状況に置かれていることから、医療行為に付随する様々な問題が時々刻々と発生する特殊な医療現場である。

    常勤の矯正医官の定員は328人であるが、ここ数年の間に欠員が増え続け、2012年以降は常態的に定員の8割を切り、31施設で常勤医師が不在の状態となっている。このような深刻な医師不足の中、矯正医療が抱える諸問題の解決に向け法務省で有識者検討会が開催され、矯正医官の待遇改善、地域医療機関との連携強化、矯正医官に対する認知度を高める必要性などを盛り込んだ報告書がまとめられた。この提言を受け、昨年8月に矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律が可決・成立し、同12月1日に施行された。

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