株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

HDL-コレステロールが著しく低い症例で注意することは?

No.4983 (2019年10月26日発行) P.53

武城英明 (東邦大学医療センター佐倉病院臨床検査部教授)

小関正博 (大阪大学大学院医学系研究科循環器内科)

登録日: 2019-10-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 検診や診療で,時にHDL-コレステロールが20mg/dLより低い症例に遭遇します。遺伝性低HDL血症を疑って専門医に紹介すればよいでしょうか。また,どのような原因や検査が考えられるでしょうか。大阪大学・小関正博先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    武城英明 東邦大学医療センター佐倉病院臨床検査部教授


    【回答】

    【LCAT欠損症,魚眼病,タンジール病,アポリポ蛋白質A-1欠損症等の遺伝性疾患に注意】

    HDL-コレステロール(high density lipoprotein-cholesterol:HDL-C)<25mg/dLの低HDL血症(familial hypoalphalipoproteinemia)をきたす遺伝性疾患としては,古典型レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(lecithin cholesterol acyl transferase:LCAT)欠損症,魚眼病,タンジール病,アポリポ蛋白質A-1(以下,アポA-1)欠損症が挙げられます。

    症状としては,角膜混濁がこれらに共通します。古典型LCAT欠損症では,アルブミンを中心とした蛋白尿,進行例では末期腎障害の合併例が認められますが,部分欠損型では腎機能障害を認めずに角膜混濁のみ認める症例があります(魚眼病)。タンジール病では,扁桃腫大(オレンジ扁桃),末梢神経障害,心血管病変の合併が報告されています。黄色腫はアポA-1欠損症にだけ認められます。

    LCAT欠損症(指定難病259)とタンジール病(指定難病261)は,2015年から新たに国の指定難病に追加指定され,医療費助成制度の対象になりました1)

    残り540文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top