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IgA腎症[私の治療]

No.4981 (2019年10月12日発行) P.46

尾田高志 (東京医科大学八王子医療センター腎臓病センター腎臓内教授)

登録日: 2019-10-13

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  • IgA腎症は世界的に最も多い慢性糸球体腎炎で,小児から高齢成人まで幅広くみられる。通常,検診時に顕微鏡的血尿±蛋白尿,すなわち慢性腎炎症候群を呈して発見されるが,一部の患者では上気道感染後数日以内に肉眼的血尿を呈することがあり,診断のきっかけになる。長期予後として,未治療では20年間で約40%が腎死に陥ると報告されている。

    ▶診断のポイント

    血尿が必発であり,検診などで尿所見異常を契機に発見される。血清IgA値が高値となることがあり,315mg/dL以上の場合IgA腎症の可能性が高いとされているが,血清IgAの高くない症例も多数あり,確定診断に腎生検が必須である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    IgA腎症の病因はいまだ不明で,世界的に確立した標準治療も存在しない。治療に関するエビデンスも限られており,この点は最新のガイドライン1)を参照頂きたい。本稿では題名の通り現時点で“私が実施している治療”をまとめる。

    発症機序は不明点も多いが,扁桃などにおける慢性感染に伴う抗原刺激により,糖鎖異常を伴うIgAの過剰産生と糸球体障害性のeffector細胞が誘導され,IgA沈着を伴う糸球体炎が惹起されると考えられている。この意味でエビデンスは十分ではないものの,扁桃摘出術+ステロイドパルス(扁摘パルス)療法が“活動性のある”IgA腎症に対する最も根治的な治療としてわが国では普及している。ここで言う“活動性のある”とは,組織学的には糸球体の半月体形成性病変であり,臨床的には中等度以上の糸球体性血尿(赤血球円柱や顆粒円柱もしばしば伴う)の存在である。扁摘パルス療法は発症早期に実施するほど有効性が高く高率に尿所見異常が消失するが,治療開始が遅れた場合,血尿のみ消失し蛋白尿が残った不全治癒の状態となる。また,治療介入せずに長期経過した症例の中にも,当初みられた血尿が消失し,蛋白尿のみ残ったバーンアウト後の腎機能障害例がみられる。こういった病態には,残存糸球体の減少から生じる糸球体過剰濾過と,糸球体炎の結果として生じる二次的な巣状分節性病変の関与が想定されている。

    このように,血尿が消失し蛋白尿のみ伴う慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)としての病態に対しては,腎保護をめざした一般的管理として,減塩・蛋白制限などの食事療法と体重,血圧管理を進めるとともに,糸球体過剰濾過を考慮し,レニン・アンジオテンシン(renin-angiotensin:RA)系阻害薬を可能な限り使用する。RA系阻害薬には糸球体の輸出細動脈を拡張することで糸球体過剰濾過を抑制する機能が知られており,蛋白尿を減少させ腎機能の長期予後を改善すると考えられている。

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