安倍晋三内閣の国内政策が経産省主導であることはよく知られています。昨年後半からは医療・社会保障改革についても同省の影響力が強まっていることは、本連載「安倍内閣の『全世代型社会保障改革』の予防医療への焦点化をどう読むか?」(4936号)でも指摘しました。最近では、「『予防医療』で経産省路線に転じた厚労省の本音」との厳しい論評もみられます(『集中』2019年9月号,45頁)。
しかし、私は、経産省と厚労省の医療・社会保障改革スタンスには依然として大きな違いがあることを見落とすべきではないと思っています。本稿では、この点を以下の3側面から指摘します。①今後の社会保障給付費増加、②予防医療と終末期医療、③生活習慣病対策。