株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

■NEWS セファゾリン問題受け4学会が提言、「抗菌薬の国内生産への援助と薬価の引上げを」

No.4977 (2019年09月14日発行) P.68

登録日: 2019-09-05

最終更新日: 2019-09-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

日本化学療法学会、日本感染症学会、日本臨床微生物学会、日本環境感染学会の感染症関連4学会が9月3日、抗菌薬セファゾリンの供給停止問題に関して合同会見を開いた。4学会は抗菌薬全体の安定供給に向けた提言を8月30日付で厚生労働省宛てに提出したと発表。セファゾリンを巡る問題の構造的な要因として、抗菌薬の国内生産・供給体制の脆弱性を指摘した上で、臨床上の重要薬剤(キードラッグ)の国内生産への援助と薬価維持の仕組みを、国の主導の下に早期に構築するよう訴えた。

周術期管理などに用いられるセファゾリンを巡っては、海外原薬製造企業のトラブルで、汎用規格で国内シェアの6割を占める日医工製品の供給が停止し、需要が急騰した代替抗菌薬も連鎖的に出荷調整となる事態に陥った。

環境感染学会の松本哲哉副理事長は会見で、供給不足の背景にある問題として、後発品の使用促進に伴う継続的な薬価の引下げが抗菌薬生産の海外移転を招いた現状を提示。今回のセファゾリンを巡る問題について「国策が招いた事態」との見解を示した。感染症学会の舘田一博理事長も「生命を守るキードラッグの製造の一端が海外に握られている。抗菌薬の安定供給は安全保障の問題だ」と強調し、国内生産でも利益を生み出せる体制を実現できなければ、別のキードラッグで供給不足が生じる恐れがあると訴えた。

4学会の提言では、特に安定供給の確保に配慮すべきキードラッグの案として、①セファゾリン、②ペニシリンG、③メロペネム、④バンコマイシン―など10の薬剤を選び、厚労省に進言している。化学療法学会の清田浩理事長は会見で、厚労省医政局から「提言を真摯に受け止め、薬価制度上の対応を検討する」旨の返答を、口頭ながら受けたことを明らかにした。

提言の実現について「ボールはいま国にある」と話す化学療法学会の清田理事長(右)

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top