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急速進行性糸球体腎炎[私の治療]

No.4976 (2019年09月07日発行) P.42

平山浩一 (東京医科大学茨城医療センター腎臓内科教授)

小林正貴 (東京医科大学茨城医療センター腎臓内科教授・病院長)

登録日: 2019-09-09

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  • 急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)は臨床症候群であり,わが国では「腎炎を示す尿所見を伴い数週から数カ月の経過で急速に腎不全が進行する症候群」と定義される。RPGNは病理学的には壊死性半月体形成性糸球体腎炎が典型像であるが,それ以外にもRPGNの臨床経過をたどる疾患もあり,上記定義の該当疾患は臨床的にRPGNとして取り扱われる。
    半月体形成性糸球体腎炎は,蛍光抗体法による染色様式より,pauci-immune型,線状沈着型(抗糸球体基底膜抗体型),顆粒状沈着型(免疫複合体型)に,またpauci-immune型は抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)より,ANCA関連型(MPO-ANCA型・PR3-ANCA型)と非ANCA関連型に病型分類される。

    ▶診断のポイント

    糸球体性血尿,蛋白尿,細胞性円柱などの腎炎性尿所見と,急速に進行する腎機能障害より診断する。全身倦怠感,発熱,関節炎などの全身症状,上気道,肺(肺胞出血や間質性肺炎),皮膚(紫斑など),消化管(腹痛や下血),神経(しびれなど)などの腎外症状を伴うことも少なくなく,留意を要する。

    尿検査異常と腎機能障害に加え,炎症反応(白血球上昇,血清CRP高値,赤沈亢進),急速に進行する貧血を認めることが多く,ANCAや抗糸球体基底膜抗体を含めた自己抗体の検出が病型診断に有用である。また,組織学的検査は確定および病型診断のみならず,腎予後判定および治療方針の決定のために有用であり,可能な限り腎生検を施行する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    RPGNの予後改善には腎機能悪化が軽度な早期に効率よく発見し,速やかに治療を開始することが重要である。治療開始には病型診断と重症度の判定のために腎生検などの組織学的検討が必須であり,本疾患が疑われた場合には早急に腎疾患専門医療機関に紹介することが最も重要である。

    RPGNの治療は,通常,寛解導入療法もしくは初期治療と寛解維持療法という考え方に基づいて行われる。寛解導入療法では,血清クレアチニン値,年齢,肺病変,血清CRP値のスコア化によるRPGN臨床重症度分類,および高齢や透析などの感染のhigh risk(70歳以上または透析症例)の有無より治療法を選択する。軽症(臨床重症度gradeⅠ~Ⅱ)かつhigh risk群では経口副腎皮質ステロイド0.6~1.0mg/kg単独,軽症かつ非high risk群,および重症(臨床重症度grade Ⅲ~Ⅳ)かつhigh risk群ではステロイドパルス療法+経口副腎皮質ステロイド,重症かつ非high risk群ではさらにシクロホスファミドを併用し,これらの治療の忍容性が低い場合や治療抵抗性の場合は,分子標的治療薬(リツキシマブ)や血漿交換療法を施行する。

    寛解導入療法で用いた経口副腎皮質ステロイドは,可能な限り8週間以内に20mg/日未満に減量し,以後,0.8mg/月未満の速度で漸減する。寛解導入療法で用いたシクロホスファミドは催腫瘍性等の副作用により長期使用が困難なため,他の免疫抑制薬へと変更する。

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