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小児に対する咳止めの処方に関する考え方は?

No.4975 (2019年08月31日発行) P.48

田中孝明 (川崎医科大学小児科学講師)

田中敏博 (静岡厚生病院小児科診療部長)

登録日: 2019-08-30

最終更新日: 2019-08-27

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  • 2019年内より,12歳未満の小児に対するコデイン類含有医薬品の使用は制限される見込みと伺いました。小児科に限らず,日常診療におけるかぜ症候群等での咳嗽に対して,患者側からも“咳止め”の処方の要望は少なくありません。強力な鎮咳作用を有し,長く診療の現場で用いられてきたコデイン類も含めて,小児に対する咳止めの処方に関する考え方をご教示頂きたいと思います。静岡厚生病院・田中敏博先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    田中孝明 川崎医科大学小児科学講師


    【回答】

    【有効性が実証された鎮咳薬は存在しない】

    小児に対するコデイン類等の扱いについては,2017年に米国のFDAより,12歳未満の児には使用すべきでなく,より年長の児についても制限すべきとする警告が発せられました1)(ただし,欧米では鎮咳薬としてよりも鎮痛薬として,より高用量で用いられてきました)。欧米やWHOから,小児におけるいわゆるかぜ薬等の使用について,それまでも繰り返し注意を促す通知がなされてきた経緯があります。2017年,わが国でも厚生労働省より小児に対してコデイン類を使用しないようにとの注意喚起がなされると同時に,禁忌の扱いにしていく方向性が示されました2)。ちょうどこの頃,国内で重篤な副作用と判断される症例報告が続きました3)~5)。コデイン類に関しては,主に安全性への懸念から,世界的に規制の強化が進んだ状況です。

    一方,わが国の日常診療の中で“咳止め”として頻用される末梢性非麻薬性鎮咳薬(以下,鎮咳薬)については,その有効性に疑問符が付きます。小児に適応のある鎮咳薬は,旧制度下の臨床試験(治験)を経て認可されており,偽薬もしくは同効薬との比較試験が実施されたものはありません。また,市販後にそうした比較が臨床研究として実施されたこともありません。つまり,小児の咳嗽に対して有効性が実証された鎮咳薬は存在しないのです。

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